【獣医師解説】チワワに多い病気とは?|咳や心臓病など気をつけたい病気と健康管理
チワワは小柄で愛らしい見た目と人懐っこい性格から、日本でも特に人気の高い犬種です。
当院にもチワワと暮らす飼い主様が多く来院されており、中には何世代にもわたってチワワを迎え続けているご家庭もいらっしゃいます。
一方で、「最近、ガーガーと苦しそうな咳をするようになった」「以前より疲れやすくなった気がする」「寒がりで体調管理が難しい」といったお悩みを抱えてご相談いただくケースも少なくありません。
チワワは超小型犬ならではの小柄な体格を持っています。そのため、日頃の生活環境や体重管理に気を配るだけでなく、犬種特有の病気について知っておくことも大切です。
特に、気管や心臓の病気はチワワで比較的多く見られます。初期には目立った症状が表れにくいため、「年齢のせいかな」「少し様子を見よう」と考えているうちに進行してしまうケースもあります。
そこで今回は、チワワの飼い方の基本から、咳の原因として注意したい気管虚脱や、チワワに多い心臓病である僧帽弁閉鎖不全症、そのほか気をつけたい病気などを解説します。
■目次
1.チワワの飼い方で大切なこと|小さな体を守る生活環境づくり
2.「ガーガー」という咳は要注意?|チワワに多い気管虚脱について
3.チワワに多い心臓病|僧帽弁閉鎖不全症の初期サインとは
4.そのほかにも注意したい|チワワに見られやすい病気
5.チワワによく見られる逆くしゃみとは?
6.元気なうちからが大切|定期検診について
7.まとめ
チワワの飼い方で大切なこと|小さな体を守る生活環境づくり
チワワが健康に暮らしていくためには、以下のように犬種の特徴に合わせた環境を整えることが大切です。
<寒さや気温差に配慮する>
チワワは体が小さく体脂肪も少ないため、寒さの影響を受けやすい犬種です。
特に冬場や季節の変わり目は体温が下がりやすく、体調を崩すきっかけになる場合があります。
そのため、室温を適切に管理したり、必要に応じて洋服や毛布を活用したりしながら、快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
また、夏場は熱中症にも注意が必要です。小柄な犬は地面からの照り返しの影響を受けやすいため、暑い時間帯の散歩は避けるようにしましょう。
<関節への負担を減らす工夫をする>
チワワは骨が細く、関節への負担がかかりやすい傾向があります。
ソファやベッドから飛び降りたり、滑りやすいフローリングの上を走り回ったりすると、膝や関節を痛める原因になる場合があります。
そのため、日頃から滑り止めマットを敷いたり、段差を減らしたりして、足腰に負担がかかりにくい環境を意識しましょう。
<興奮しすぎない環境づくりも大切>
チワワは警戒心が強く、興奮しやすい性格の子も少なくありません。
来客時や散歩中に強く興奮すると、呼吸器に負担がかかる場合があります。
そのため、日頃から安心して過ごせる場所を用意し、ストレスをため込みにくい生活環境を整えることが健康維持につながります。
<肥満を防ぐ>
チワワでは、わずかな体重増加でも体への負担が大きくなります。
肥満になると関節だけでなく、気管や心臓にも負担がかかりやすくなります。
そのため、適切な食事量を守りながら、無理のない運動を取り入れ、理想体重を維持するよう心がけましょう。
「ガーガー」という咳は要注意?|チワワに多い気管虚脱について
チワワの飼い主様からよくご相談いただく症状のひとつが、「ガーガー」「グーグー」と聞こえる特徴的な咳です。
このような症状の背景には、「気管虚脱」という病気が隠れている場合があります。
気管虚脱とは、空気の通り道である気管が徐々につぶれてしまい、呼吸がしづらくなる病気です。特にチワワをはじめとする超小型犬で多く見られます。
症状の特徴としては、ガチョウの鳴き声のような咳が挙げられます。
また、以下のような場面で悪化しやすい傾向があります。
・興奮したとき
・散歩や運動のあと
・暑い環境にいるとき
・首に負担がかかったとき
初期には一時的な咳だけの場合もありますが、進行すると呼吸困難につながることもあります。そのため、「たまにむせているだけ」と自己判断せず、症状が続く場合は動物病院へ相談しましょう。
なお、気管虚脱は体質的な要因だけでなく、日常生活の中で首や気管に負担がかかることで症状が悪化する場合があります。そのため、体重管理や興奮しすぎない環境づくりに加えて、散歩時に使用する道具にも配慮することが大切です。
シニアの犬や猫の呼吸器疾患についてより詳しく知りたい方はこちら
<首輪よりハーネスがおすすめな理由>
気管虚脱が疑われる場合や予防を考える場合には、首輪ではなくハーネスの使用がおすすめです。
首輪は引っ張られた際に首へ直接圧力がかかるため、気管への負担が大きくなる可能性があります。一方でハーネスは胸全体で力を分散できるため、首周りへの負担を軽減しやすくなります。
チワワのような小型犬では、日常的な管理の積み重ねが呼吸器の健康維持につながります。
チワワに多い心臓病|僧帽弁閉鎖不全症の初期サインとは
チワワでは、加齢とともに心臓病を発症するケースが増えてきます。なかでも特に多いのが「僧帽弁閉鎖不全症」です。当院でも、年齢を重ねたチワワで心疾患が見つかるケースは少なくありません。
僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の中にある弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。
初期にはほとんど症状が見られない場合もありますが、病気が進行すると心臓に大きな負担がかかります。そのため、日常生活の中で表れる小さな変化に気づくことが重要です。
例えば、以下のような様子が見られた場合は注意が必要です。
・以前より寝ている時間が増えた
・散歩ですぐ疲れてしまう
・運動後に咳をする
・呼吸が以前より速くなった
・遊びたがらなくなった
こうした変化は加齢によるものと思われがちですが、実際には心臓病の初期サインである場合があります。
さらに進行すると、肺に水がたまる「肺水腫」を引き起こし、呼吸が苦しくなることもあります。
心臓病は早期発見・早期治療によって進行を緩やかにできる可能性があります。
そのため、「少し気になる程度だから」と様子を見るのではなく、早めに動物病院に相談することが大切です。
そのほかにも注意したい|チワワに見られやすい病気
チワワでは呼吸器や心臓病以外にも、犬種特有の病気が見られます。
ここでは代表的な病気をご紹介します。
<膝蓋骨脱臼(パテラ)>
膝蓋骨脱臼は、膝のお皿が正常な位置から外れてしまう病気です。小型犬では非常によく見られ、チワワも好発犬種として知られています。
症状としては、以下が見られます。
・後ろ足を時々浮かせる
・スキップするような歩き方をする
・歩きたがらなくなる
軽度であれば経過観察となる場合もありますが、重症化すると手術が必要になるケースもあります。
<肝臓の病気>
チワワでは先天的な肝臓の異常が見つかる場合があります。代表的なものとして門脈体循環シャントが挙げられます。
また、肝臓は体内の有害物質を処理する重要な臓器です。そのため、異常があると以下のような症状が表れることがあります。
・食欲不振
・成長不良
・元気消失
・神経症状
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<水頭症>
水頭症は脳の中に脳脊髄液が過剰にたまる病気です。小型犬では先天的に見られることがあります。
症状としては、以下が見られます。
・ふらつく
・ぼんやりしている時間が増える
・視線が合いにくい
・けいれん発作
チワワによく見られる逆くしゃみとは?
チワワでは、突然「ズーズー」「ブーブー」と音を立てながら息を吸い込むような仕草が見られることがあります。これは「逆くしゃみ」と呼ばれる現象です。
初めて見ると苦しそうに見えるため、驚かれる飼い主様も少なくありません。
逆くしゃみは、鼻の穴が小さいことや、喉の奥にある軟口蓋と呼ばれる組織の形状などが関係して起こると考えられています。
若いチワワでは比較的よく見られ、多くの場合は生理的な現象です。そのため、短時間で落ち着き、普段と変わらず元気に過ごしている場合には、過度に心配する必要はありません。
ただし、以下に当てはまる場合には注意が必要です。
・シニア期になって急に始まった
・以前より回数が増えた
・呼吸が苦しそうに見える
・咳や呼吸異常を伴う
呼吸器疾患や心疾患などが関係している可能性もあるため、一度動物病院で相談すると安心です。
元気なうちからが大切|定期検診について
チワワに多い呼吸器疾患や循環器疾患は、症状が進行してから見つかるケースも少なくありません。
しかし、定期検診によって症状が軽いうちに異常へ気づける場合があります。
診察では聴診による心雑音の確認に加え、必要に応じてレントゲン検査や超音波(エコー)検査を行います。
これらの検査によって、見た目には分からない心臓や呼吸器の異常を発見できる可能性があります。
特に、以下のような変化が見られる場合には、早めの受診をおすすめします。
・咳が増えた
・呼吸が荒い
・以前より疲れやすい
・散歩を嫌がるようになった
なお、当院では内科・外科を含め幅広い診療に対応しております。また、必要に応じて専門病院や大学病院とも連携しながら、その子の状態に合わせた治療方法を飼い主様と一緒に考えてまいります。
まとめ
チワワは小柄で愛らしく、多くの飼い主様に親しまれている犬種です。
その一方で、気管虚脱や僧帽弁閉鎖不全症をはじめ、パテラや肝臓疾患、水頭症など、犬種特有の病気にも注意が必要です。
特に「咳をする」「呼吸が苦しそう」「疲れやすい」といった変化は、呼吸器や心臓の病気のサインとして表れている可能性があります。
こうした異変は初期にはわずかな変化しか見られない場合もあります。そのため、日頃から愛犬の様子を観察し、定期的な健康チェックを受けることが大切です。
チワワの健康を守るためには、犬種の特徴に合わせた生活管理と、病気の早期発見につながる定期検診の両方が欠かせません。
なお、当院ではチワワをはじめとした犬種ごとの特徴を踏まえながら、飼い主様と一緒に愛犬の健康を生涯にわたってサポートしてまいります。気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
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