10歳を過ぎた愛犬の健康を守る|獣医師が教える7つの重要ポイント

犬にとって10歳は人間でいう50代後半の中高齢期に相当し、健康面での変化が徐々に表れてくる時期です。心臓や肝臓の機能の衰えも出始め、病気のリスクがますます高まります。犬の健康を維持するためには、飼い主様による日々のケアと獣医師による定期的なチェックが欠かせません。
今回は、10歳を過ぎた愛犬の健康を守るために気を付けたいポイントをご紹介します。
■目次
1.定期健康診断の重要性
2.高齢犬に適した栄養管理
3.適切な運動と休息のバランス
4.口腔ケアの重要性
5.認知機能の変化と対策
6.関節ケアと快適な生活環境づくり
7.皮膚と被毛の健康管理
8.まとめ
定期健康診断の重要性
10歳を超えたシニア犬は若齢犬よりも病気がでてくる可能性が高く、進行も早い場合もあります。そのため半年ごとに年2回の健康診断を行う必要があります。
健康診断では血液検査や尿検査を行い、疾患を早期に発見し治療を開始することで、その後の治療成績を上げられます。
高齢犬に適した栄養管理
高齢犬は加齢に伴い消化機能や代謝機能が低下するため、低脂肪で消化しやすい食事が推奨されます。高齢犬用のドッグフードはカロリーが低めで食物繊維が豊富に作られており、シニア期の栄養管理に最適です。
また、手作りのフードは必須アミノ酸(体内で合成できず、食事から取らなければならないアミノ酸)が不足してしまったり、うっかり犬によくないものを与えてしまったりする可能性があるので注意しましょう。
適切な運動と休息のバランス
高齢犬にとっての適切な運動量は体調や肥満度にも左右されますが、一般的には1回10分程度を1日に2〜3回行ってあげると良いでしょう。
散歩の際は過度な負担を避けるために、無理せず犬のペースに合わせて歩き、夏は涼しく冬は暖かい時間に行ってあげてください。また、高齢だからといって全く運動をさせないとストレスが溜まり運動不足にもなるため、日々の散歩は重要です。
また、どうしても外に出られない場合は、室内でボール遊びをしたり引っ張りっこをしたりして遊びましょう。
口腔ケアの重要性
シニア期には歯石の蓄積が見られる子も多く、歯周病にかかりやすいです。歯周病は口腔内で繁殖した細菌が全身に影響し、全身に影響し、心臓病や腎臓病に繋がるリスクがあります。
歯周病の予防には日々のブラッシングが肝心ですが、定期的な獣医師による歯石除去も必要です。
認知機能の変化と対策
高齢犬の認知症(認知機能不全症候群)は、初期症状として徘徊や夜鳴き、性格の変化(攻撃的になったり、反対に活動性が低下したり)、トイレの失敗などが見られるようになります。これらの症状が表れたら、まずは獣医師に相談し認知症なのか(別の疾患の一症状ではないか)診断してもらいましょう。
また認知機能を維持するためには、普段から脳トレ系のおもちゃや軽い運動により脳を活性化させることや、日常的にスキンシップや声かけを行い情緒を安定させることが大切です。
関節ケアと快適な生活環境づくり
慢性関節炎の予防にはオメガ脂肪酸やグルコサミンの積極的摂取や、生活環境を整備し床を滑りにくい材質にする、ベッドにスロープを付けたり低いものにしたりすることが有効です。
関節炎の症状が現れた場合は獣医師に相談し、病状を的確に判断してもらいましょう。また、関節炎の場合、しばらくはケージレストなどの安静処置が必要です。
皮膚と被毛の健康管理
高齢犬は加齢に伴い皮脂の分泌量が減少し乾燥しがちになったり、免疫力や代謝が低下したりすることで皮膚トラブルが起きやすくなります。そのため、日々のグルーミングにより皮膚を衛生的に保ち、皮膚被毛の状態に変化がないかチェックすることが重要です。
皮膚の異変に気がついたときは、他に症状のある部位がないか、痒みや脱毛はないかを確認しましょう。軽度の異常であれば、シャンプーや保湿で様子を見ても良いですが、数日たっても症状が改善しない場合や逆に悪化する場合は獣医師の診察を受けましょう。
まとめ
高齢犬は食事や運動など日々の生活習慣と、定期的な獣医師への相談により健康管理を行うことが非常に重要です。まずは愛犬の年齢に応じた健康診断を予約しましょう。
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