つるまき動物病院
院長ブログ

愛犬の嘔吐や下痢について|気をつけるべきサインと対処法【獣医師が解説】

2024年11月13日

愛犬が嘔吐や下痢をした際、「様子を見ていいのか」「何か病気が潜んでいるのか」などといった不安や戸惑いを感じる飼い主様は少なくありません。嘔吐や下痢は一過性で大きな問題がない場合もありますが、急性または慢性の健康問題を示すサインの場合もあります。そのため、犬の嘔吐や下痢は、適切な対応と早期の受診が重要です。

今回は犬の嘔吐や下痢について、観察するポイントや重症を疑う目安などを含め、飼い主様としての心構えや対処法をご紹介します。

■目次
1.犬の嘔吐と下痢:どんな症状に注意すべき?
2.嘔吐と下痢の主な原因:異物摂取から慢性疾患まで
3.緊急性の高い症状:すぐに病院へ行くべき場合
4.家庭でできるケアと対処法:軽度の症状への対応
5.予防方法:愛犬の消化器系健康を守るために
6.まとめ:早期発見と適切な対応が大切

犬の嘔吐と下痢:どんな症状に注意すべき?


【嘔吐の症状の観察ポイント】
<嘔吐の頻度>
嘔吐が繰り返される場合は、深刻な問題を引き起こしている可能性があります。さらに、頻回の嘔吐は脱水症状に陥る可能性があるため、注意が必要です。

<吐物の性状>
吐物の性状だけでは、一概に重症度を判断することはできません。しかし、異物が出てきた場合や大量の出血が混ざっている場合、何度吐こうとしても何も出ない場合などは早めの対応が望ましい状態です。また、動物病院に受診する際は吐物をビニールなどに包んで持っていくことで、診断に役立ちます。

【下痢の症状】
<下痢の性状>
水っぽい下痢なのか、粘液や血液が含まれているか、色は何色か、量はどの程度かなどの情報を観察しましょう。特に血便は、胃腸の出血や重篤な感染症を引き起こしている可能性があるため、早急な受診が必要です。

<便の回数>
1日に何度も下痢をする場合は、脱水症状のリスクが高まります。特に子犬や高齢犬では注意が必要です。

【軽度の症状と重度の症状の違い】
<軽度の症状>
一時的な嘔吐や下痢で、食欲や元気がある場合は様子を見ても問題ない場合が多いです。

<重度の症状>
嘔吐や下痢が複数回続き、食欲不振や元気がない場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。特に頻繁な嘔吐が見られる場合は、緊急の対応が必要です。

嘔吐と下痢の主な原因:異物摂取から慢性疾患まで


<食べ過ぎ>
過剰な食事は消化不良を引き起こし、嘔吐や下痢の原因となります。

<異物誤飲>
犬は好奇心旺盛で、食べてはいけないものを誤って飲み込んでしまうことがあります。異物が消化管に詰まることにより、嘔吐や下痢を引き起こします。

犬や猫が誤飲・誤食しやすいものと対処法についてはこちらから

<ウイルス感染>
パルボウイルスやコロナウイルスなどの感染症は、嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。

<細菌感染>
サルモネラやカンピロバクターなどの細菌感染も、消化器症状を引き起こします。

<寄生虫>
回虫や鉤虫などの寄生虫感染は、特に子犬や外で過ごす時間が多い犬に多く見られます。

<環境の変化>
引っ越しや新しい犬や猫をお迎えした時など、環境の変化がストレスとなり、嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。

<薬の影響>
一部の薬は副作用として嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。そのため、新しい薬を始めた際は注意深く観察することが重要です。

<慢性疾患(慢性腸症など)>
特に中高齢犬では、嘔吐や下痢が慢性疾患のサインである可能性が高いため、早めの受診を推奨します。

緊急性の高い症状:すぐに病院へ行くべき場合


嘔吐や下痢のうち、特に注意が必要な症状や状況は以下の通りです。

血便:血便は赤いものだけではなく、変色して黒くなることもあります。
脱水症状:ぐったりしている、歯茎などの粘膜が乾いているなど
高熱:体が普段よりも熱い場合など
嘔吐と下痢がどちらも見られる
食欲不振が数日続く

愛犬の食欲不振についてはこちらから

家庭でできるケアと対処法:軽度の症状への対応


<絶食療法>
嘔吐や下痢が見られる場合は、一時的に食事を控え、胃腸を休ませると落ち着くことがあります。

<消化に優しい食事>
絶食後は、消化しやすい食事を少量ずつ与えるとよいでしょう。

<水分補給>
嘔吐や下痢が続くと脱水症状を引き起こす可能性があるため、常に新鮮な水を飲める状態にし、水分補給を促すことが重要です。

<経過観察>
嘔吐や下痢の頻度、性状、便の回数などを記録し、獣医師に報告することで、診断の助けになります。

これらの対処法は軽度の症状にのみ行うようにしましょう。また、症状が改善しない場合や悪化する場合は速やかに獣医師の診察を受けることが大切です。

予防方法:愛犬の消化器系健康を守るために


犬の嘔吐や下痢を予防するためには、適切な食事管理や定期的な健康診断、ワクチン接種、寄生虫予防などを獣医師の指導の下で行いましょう。

特に中高齢のシニア犬では、1年に1〜2回の定期的な健康診断を推奨します。

まとめ:早期発見と適切な対応が大切


犬の嘔吐や下痢の症状は、早期に適切な対応を行うことで治療効果を高めることができます。そのため、愛犬の体調に疑問や不安がある場合は躊躇せず、早めに動物病院に相談することが大切です。

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