愛犬の食欲不振、放っておいて大丈夫?|獣医師が教える5つの原因と対処法
犬の食欲不振は体調不良や病気の初期症状であることが多く、見逃してはいけない兆候です。特に犬は自分の体調の変化を言葉で伝えられないため、食欲不振は飼い主様が気づくべき重要なサインです。
今回は、犬の健康を守るために食欲が落ちた際の原因や対処法について解説します。
■目次
1.食欲不振の定義と見分け方
2.食欲不振の5つの主な原因
3.食欲不振への対処法
4.獣医師の診察が必要なタイミング
5.食欲不振の予防法
6.まとめ
食欲不振の定義と見分け方
食欲不振とは普段よりも食事の摂取量が減少している状態です。いつも完食しているフードを7~8割以下しか食べない、好んでいた食べ物を拒むなどの状態は食欲不振といえます。また、完全に食べない状態は食欲廃絶とよびます。食欲廃絶は食欲不振に伴い、元気がない場合や水すら飲めない場合は重度の症状を引き起こしている可能性があります。
食欲不振の5つの主な原因
<消化器系の問題>
胃腸炎や異物誤飲、寄生虫感染などが挙げられます。胃腸炎や異物誤飲は嘔吐を併発することが多く、特に異物で消化管が閉塞している場合は激しい頻回な嘔吐が見られます。また、寄生虫の場合は便中に虫体が見られることがあります。
<歯科や口腔の問題>
歯周病や口内炎、歯の痛みにより食欲が低下することが多いです。口臭やよだれが見られる場合は歯科疾患を疑います。口や歯の痛みで食事の摂取に苦痛を感じている場合は、片側のみで咀嚼したり、ギシギシと音を立てて食事をしたりする仕草が見られることもあります。
<全身性の疾患>
腎臓病、肝臓病、がんなどの重篤な疾患による食欲不振は、元気消失や削痩などの全身症状を併発することが多いです。これらの病気は特に高齢期に発症しやすいため、定期的な健康診断が肝心です。
<心理的要因>
ストレスや環境の変化があったり、分離不安を持っていたりすると食欲不振を起こしてしまうことがあります。心理的要因による食欲不振では下痢の併発が多いです。
<加齢や薬の副作用>
加齢により運動量が減るとエネルギーの必要量も減るため、食欲が低下しやすいです。また、消化機能の低下や嗅覚、味覚の鈍りも食欲の低下を招きます。服用中の薬によっては、副作用として消化器や代謝に影響を与え、食欲が低下することがあります。
食欲不振への対処法
犬の食欲不振を感じた場合は、嗜好性の高いウェット系のフードや缶詰をトッピングするなどして食欲を刺激する工夫をしてみましょう。フードを軽く温めると香りが立ち、食欲がわくことがあります。
また、一度に多くのフードを食べるのが難しい場合は、少量を何回かに分けて与えるようにすると良いでしょう。また、器の高さを見直したり、滑り止めがついているものを選んだりして食べやすくしてあげるようにしましょう。
獣医師の診察が必要なタイミング
食欲不振が3日以上続く場合や完全な食欲廃絶がある場合は獣医師の診察を受けましょう。また食欲不振だけではなく、元気もない場合や嘔吐下痢を併発している際も診察が必要です。
診察ではいつからどれくらい食べていないか、無理なダイエットをしていないか、他に症状がないかなどを問診で確認するため、体調を崩してからの食事の状態をメモしておくと安心です。
また、シニア犬の場合や体重が20%以上減っている場合は基本的に必ず血液検査や脱水の有無を確認するようにしています。
食欲不振の予防法
食欲不振を予防するためには日頃の健康管理が不可欠です。栄養バランスの取れた食事を与え、適切な食生活に配慮しましょう。ほかにも、静かで落ち着いた場所で食事をさせ、愛犬の嗜好性に合うフードを選んであげましょう。また、適切な運動は消化機能の促進やストレスの解消に繋がり、食欲の維持に貢献してくれます。
まとめ
愛犬の食欲不振には早めの対応が肝心です。定期的な健康診断を受け、病気や歯科疾患を早期に発見し対応するようにしましょう。日頃から愛犬の体調の変化に注意し、食欲に異変を感じたら、まずは獣医師に相談しましょう。
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