つるまき動物病院
院長ブログ

ポメラニアンの飼い方|脱毛症「アロペシアX」の原因・治療と日々のケア

2026年11月2日

ふわふわの被毛と愛らしい表情が魅力のポメラニアン。小さな体で元気に遊ぶ姿に、日々癒やされている飼い主様も多いのではないでしょうか。

一方で、ポメラニアンには注意したい病気があり、若い頃から毛が薄くなる「アロペシアX」もそのひとつです。「以前の毛並みに戻らない」「治療を続けても変化がない」と、戸惑いや不安を感じることもあるでしょう。

今回は、ポメラニアンの特徴や飼い方のポイント、アロペシアXの診断・治療について、つるまき動物病院の考え方を交えながら解説します。

■目次
1.ポメラニアンの特徴と飼い方のポイント
2.ポメラニアンで注意したい病気やケガ
3.当院のアロペシアXへの診断アプローチ
4.アロペシアXの治療
5.ご家庭でのケア
6.まとめ

ポメラニアンの特徴と飼い方のポイント


ポメラニアンは好奇心旺盛で、活発に動くことを好む傾向があります。性格には個体差がありますが、小型犬だからといって運動の機会を減らさず、体力に合わせた散歩や室内遊びを取り入れましょう。

周囲の音や人の動きに敏感な子もいるため、子犬の頃から無理のない範囲でさまざまな環境に慣れる経験を重ね、落ち着いて過ごせる場所を用意することも大切です。

被毛は、外側の毛と内側の柔らかな毛からなるダブルコートです。日頃から、皮膚に負担をかけずにやさしくブラッシングしましょう。その際は、毛の量だけでなく、赤みやかさぶた、皮膚の色の変化も確認してください。

ポメラニアンで注意したい病気やケガ


元気に走ったり跳んだりするポメラニアンには、足腰に負担がかかりにくい環境づくりが大切です。また、被毛に隠れた皮膚の変化にも目を向けましょう。

<膝蓋骨脱臼(パテラ)とケガ>
膝蓋骨脱臼は、膝のお皿が正常な位置から外れる病気です。ポメラニアンなどの小型犬で見られ、片方の後ろ足を上げる、歩く途中でスキップするような動きが出ることがあります。

滑りやすい床にはマットを敷き、ソファなど高い場所から飛び降りる習慣を減らしましょう。体重管理も足腰の負担を抑えるうえで大切です。足をかばう、痛がるといった様子があれば、動物病院に相談してください。

<痒みの少ない脱毛症「アロペシアX」>
アロペシアXは、ポメラニアンに多く見られる原因が十分に解明されていない脱毛症で「ポメラニアン脱毛症」と呼ばれることもあります。毛の生え替わりの周期に異常が起きると考えられており、若い成犬でも発症します。

代表的な変化は次のようなものです。

・首や胴体、太ももなどの毛が左右対称に薄くなる
・顔や足先の毛は比較的残る
・毛質が変わり、ふわふわした毛並みが失われる
・脱毛した部分の皮膚が黒っぽくなる

通常、アロペシアX自体では強い痒みや痛みは見られません。ただし、見た目だけで診断することはできず、痒みがないから病気ではないとも言い切れません。

当院のアロペシアXへの診断アプローチ


当院では「ポメラニアンだからアロペシアX」と決めつけず、まずほかの病気が隠れていないかを確認することを大切にしています。

脱毛の原因には、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症といったホルモンの病気、細菌・真菌・寄生虫による皮膚の病気などがあります。アトピー性皮膚炎による掻き壊しや、皮膚に生じるリンパ腫などでも脱毛が見られ、痒みの有無だけでは区別できません。

脱毛の原因となる甲状腺機能低下症についてより詳しく知りたい方はこちら
脱毛などの皮膚症状が見られるクッシング症候群についてより詳しく知りたい方はこちら

診察では、脱毛が始まった時期や広がり方、痒みの有無などを伺います。そのうえで、皮膚の検査や血液検査などを検討し、必要に応じてホルモン検査や、皮膚の一部を採取して調べる病理検査を行います。検査結果や症状を総合し、ほかの病気の可能性を確認したうえで、アロペシアXかどうかを判断します。

毛が薄いことに加え、膿皮症(細菌による皮膚の感染)を繰り返す場合も、一度当院へご相談ください。赤いぶつぶつやかさぶたがある場合は、脱毛とは別に治療が必要なこともあります。

脱毛の原因が分からないままだと「重い病気なのでは」と不安になることもあるでしょう。ほかの病気の可能性を確認し、アロペシアXと診断された場合は、通常、それ自体が命に関わる病気ではないことをお伝えします。そのうえで、被毛の回復や皮膚の健康を保つために、どのような治療・ケアを行うかを一緒に考えていきます。

当院では、診断結果と今後の見通しを丁寧にお伝えし、飼い主様の不安を少しでも和らげられるよう努めています。

アロペシアXの治療


アロペシアXの治療への反応には個体差があり、発毛しても再び脱毛することがあります。「治らないのでは」と感じるときも、経過を確認しながら、その子に合った方針を考えることが大切です。

<避妊・去勢手術や投薬の検討>
アロペシアXには性ホルモンの関与が考えられていますが、詳しい仕組みはまだ分かっていません。避妊・去勢手術後に発毛が見られる場合があるため、まだ受けていない犬では、治療の一環として手術を検討することがあります。

実施するかどうかは、その子の健康状態や体への負担などを踏まえて判断します。
ただし、当院では、手術後に一度毛が生えても再び脱毛するケースを経験しており、長期的な改善が得られるとは限りません。

また、発毛を目指して投薬を検討することもあります。使用する際は、期待できる効果と副作用、必要な検査などを確認します。サプリメントは、皮膚や被毛の健康維持を補助する目的で、必要に応じて検討します。使用の適否はその子の状態によって異なるため、自己判断で使用せず、ご相談ください。

当院では、治療への反応や皮膚の状態を確認しながら、その子に合った方法を検討します。飼い主様と経過を共有し、無理なく続けられる方針を一緒に考えていきます。

ご家庭でのケア


毛が薄くなった部分は、日差しや摩擦などの影響を受けやすくなります。皮膚の状態に合った洗浄・保湿を行い、強いブラッシングや洗いすぎは避けましょう。膿皮症がある場合は、その治療も並行して行います。

毛が薄くなっている部分を、毎回できるだけ同じ角度や明るさで撮影しておくと、毛の量や皮膚の変化を比較しやすくなり、診察時にも役立ちます。また、新たに赤みや痒みが出た場合は、別の皮膚トラブルが起きている可能性もあるため、ご相談ください。

<飼い主様の不安に寄り添い、無理なく続けられるケアを>
愛犬の毛並みや見た目が変わることで、戸惑う飼い主様もいらっしゃるでしょう。当院では、そのお気持ちも伺いながら、無理なく続けられる治療やケアを一緒に考えます。

根気よく向き合いながらも、治療の効果や負担は定期的に見直します。ときには発毛を目指す治療を控えて皮膚のケアと経過観察を中心にするなど、愛犬が快適に過ごせることも大切にします。

まとめ


ポメラニアンの飼い方では、活発な性格に合った環境づくりと、日頃の被毛・皮膚の観察が大切です。毛が薄くなったときは「ただの換毛期」「治らない体質」と自己判断せず、まず原因を確認しましょう。

アロペシアXは長く付き合うこともある脱毛症ですが、治療やケアを見直すことで、その子に合った対応を考えられます。

当院では、脱毛の原因を丁寧に検討し、飼い主様のお気持ちにも寄り添いながら治療を進めます。治療を続けても改善が見られない場合や、別の意見を聞きたい場合も、お気軽にご相談ください。これまでの検査結果や治療内容が分かる資料があれば、診察時に役立ちます。

■関連する記事はこちらから
犬と猫の皮膚トラブル(好発部位)|疾患の種類や治療法を徹底解説

東京都世田谷区の動物病院なら『つるまき動物病院』
診察についてはこちらから
TEL:03-6413-5781