犬の子宮蓄膿症|水をよく飲む・陰部から膿が出るときは早めの受診を
「涼しくなったのに、愛犬が水をよく飲む」「おしっこの量が増えた」。こうした変化に気づいても、受診した方がよいのか迷う飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
水を飲む量やおしっこの量は、気温や運動量などによって変わります。しかし、涼しい場所で落ち着いて過ごしていても、以前より明らかに増えている場合は、体調の変化が関係している可能性があります。
その原因のひとつが、子宮に膿がたまる「子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)」です。特に、避妊手術を受けていない中高齢のメス犬で注意が必要で、治療が遅れると命に関わることがあります。
今回は、子宮蓄膿症で見られる症状や受診の目安、つるまき動物病院での検査・手術について解説します。
■目次
1.子宮蓄膿症とは?中高齢の未避妊犬で注意したい病気
2.水をよく飲む・陰部から膿が出るなどの症状
3.当院での検査|胃腸の不調から見つかることも
4.治療は手術が基本|当院で診断から緊急手術まで対応
5.ソノサージを活用し、出血や痛みに配慮
6.まとめ
子宮蓄膿症とは?中高齢の未避妊犬で注意したい病気
子宮蓄膿症は、子宮内で細菌が増殖し、炎症によって膿がたまる病気です。発情後のホルモンの影響で子宮内が感染しやすい状態になることが、発症に関係しています。
特に、避妊手術を受けていない中高齢の犬で注意が必要ですが、若い犬でも発症することがあります。
水をよく飲む・陰部から膿が出るなどの症状
子宮蓄膿症では、陰部の異変だけでなく、食事や排尿、普段の様子にも変化が表れます。ご家庭では、次のようなサインに注意してください。
・水をよく飲み、おしっこの量が増える
・陰部から膿のような分泌物や、血の混じった分泌物が出る
・陰部を頻繁に舐める
・食欲が落ちる、元気がなくなる
・嘔吐や下痢が見られる
・お腹が膨らんで見える
涼しくなっても水を飲む量やおしっこの量が多い場合は、暑さの影響だけでなく、病気が関係している可能性があります。「もう暑くないのに水をよく飲む」と感じたら、動物病院に相談しましょう。
また、これらの症状がすべて見られるとは限りません。特に、陰部からの分泌物は、子宮の出口が開いているかどうかによって異なります。
子宮の出口が開いている場合は、膿が外に出るため、陰部の異変に気づくことがあります。一方、出口が閉じている場合は、膿が子宮内にたまり続けます。当院では、膿が外に出ていない犬の方が、深刻な状態で来院するケースが多く見られます。陰部に分泌物が見られなくても、お腹の膨らみや食欲・元気の低下に注意が必要です。
治療が遅れると、感染に対する全身の反応によって臓器の働きが損なわれる「敗血症」や、子宮の破裂による腹膜炎などを引き起こす危険があります。
避妊手術を受けていないメス犬で、陰部から膿のような分泌物が出ている場合は、当日中に動物病院へご相談ください。膿が出ていなくても、食欲や元気が落ちている場合は同様にご相談ください。ぐったりしている、繰り返し吐く、立てない場合は、すぐに受診が必要です。
当院での検査|胃腸の不調から見つかることも
当院では、嘔吐や下痢をきっかけに来院し、血液検査やお腹の検査から子宮蓄膿症が見つかることがあります。未避妊のメス犬で、お腹の調子が悪く、食欲も落ちている場合には、早い段階でこの病気を疑って診察します。
血液検査では、白血球の増減などの異常に加え、腎臓をはじめとした臓器への影響を確認します。さらに、子宮蓄膿症が疑われる場合は、速やかに超音波検査(エコー検査)を行い、子宮の腫れや内部に液体がたまっていないかを確認します。
超音波検査は、子宮の状態を把握するうえで重要な検査です。ただし、画像だけで判断するのではなく、症状や発情の時期、血液検査の結果などを合わせて診断します。
受診時には、最後の発情がいつ頃だったか、飲水量や尿量の変化、分泌物の様子をお伝えください。記録や写真があれば役立ちますが、準備のために受診を遅らせる必要はありません。
治療は手術が基本|当院で診断から緊急手術まで対応
子宮蓄膿症の治療では、膿がたまった子宮を卵巣とともに摘出する手術が基本です。抗菌薬だけでは、子宮内にたまった膿や感染源を取り除けないため、全身状態を確認しながら、速やかに治療方針を決めます。
脱水や循環の悪化がある場合には、点滴や抗菌薬などで状態を支え、手術に向けた処置を行います。薬による治療を検討する場合もありますが、適応は限られ、再発の可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
手術が必要と判断した場合には、検査結果や麻酔・手術のリスクをご説明し、その子の状態に応じて対応を進めます。
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当院では、院内で検査・診断から子宮蓄膿症の緊急手術まで対応できる体制を整えています。急な体調不良の場合は、まずお電話で症状をお伝えください。診療時間外や当院と連絡がつかない場合は、救急対応の動物病院へご相談ください。
ソノサージを活用し、出血や痛みに配慮
当院では、手術に超音波手術装置「ソノサージ」を活用しています。超音波の振動を利用し、組織を凝固させながら切開できるため、手術中の出血を抑えるのに役立ちます。
子宮蓄膿症では、炎症で腫れた子宮を慎重に扱い、膿がお腹の中に漏れないように摘出することも大切です。当院では、こうした操作に配慮しながら手術を進めます。また、痛みに対しては、状態に応じた鎮痛薬などを用いて負担の軽減を図ります。
しかし、手術の安全性は機器だけで決まるものではありません。術前の全身状態の評価や麻酔管理、術後の経過確認を含め、一連の診療を通じてリスクを減らせるよう努めています。
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まとめ
子宮蓄膿症は、避妊手術を受けていないメス犬で注意したい、緊急性の高い病気です。水をよく飲む、陰部から膿が出るといった変化だけでなく、嘔吐や下痢、食欲低下が受診のきっかけになることもあります。
「膿が出ていないから大丈夫」と考えず、いつもと違う様子があれば早めにご相談ください。当院では、検査から必要な手術まで、状態に応じた対応を行います。
子宮蓄膿症の予防には、健康なうちに行う避妊手術が有効です。若いうちから獣医師に相談し、犬種や体格、健康状態に応じて手術の時期を検討しましょう。中高齢の犬でも、年齢だけで手術が難しいと決めつけず、まずはご相談ください。検査で全身状態を確認したうえで、手術が可能かどうかを検討します。
当院では、急な体調不良はもちろん、子宮蓄膿症を予防するための避妊手術についてもご相談を受け付けています。
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