犬と猫の手術の負担を減らす「ソノサージ」|出血や痛みに配慮したやさしい外科治療
診察の際に「手術が必要かもしれません」と説明を受けたとき、不安なお気持ちになる飼い主様は多いのではないでしょうか。
「麻酔に耐えられるだろうか」「術後の痛みは強くないだろうか」「高齢でも手術できるのだろうか」といったお悩みを抱えながら、治療について悩むこともあるかと思います。
犬や猫の手術では、病気そのものへの不安だけでなく、出血や痛み、麻酔による体への負担など、さまざまな心配が重なります。特に、シニア期の子や持病のある子では、「できるだけ体に負担の少ない方法を選びたい」と考える飼い主様も少なくありません。
近年の獣医療では、こうした不安を少しでも和らげられるよう、体への負担に配慮した医療機器や手術方法が進歩しています。そのひとつが、超音波手術システム「ソノサージ」です。
ソノサージは、超音波の振動を利用して組織を切開・止血する医療機器で、出血を抑えながら手術を進められることが特徴です。そのため、術後の痛みや体への負担軽減につながる可能性があります。
そこで今回は、ソノサージの仕組みや特徴、どのような手術で使用されるのか、さらに当院が大切にしている「負担の少ない外科治療」への考え方などについてご紹介します。
■目次
1.ソノサージとは?|犬や猫の体にやさしい超音波手術の仕組み
2.手術時間の短縮がもたらす安心感|シニアや持病のある子にも配慮
3.ソノサージが適応となる手術の例
4.当院の考え方|痛みの少ない安全な医療を目指して
5.まとめ
ソノサージとは?|犬や猫の体にやさしい超音波手術の仕組み
ソノサージとは、超音波の振動を利用して、組織を切開しながら同時に止血を行える手術機器です。
一般的な手術では、メスで切開したあとに出血を止める処置を行います。一方でソノサージは、「切開」と「止血」を同時に行えるため、出血を抑えながら処置を進めやすい特徴があります。
また、従来の電気メスは高熱を利用して止血を行うため、周囲の組織に熱の影響が及ぶ場合があります。しかしソノサージは、熱によるダメージを比較的抑えながら処置できるため、周囲組織への負担軽減が期待されています。
さらに、血管を処理する際に糸を使用する場面を減らせる場合があります。糸を体内に残す量を減らせることで、将来的な異物反応のリスク軽減につながる可能性もあります。
このような特徴から、ソノサージには以下のようなメリットが期待されています。
・出血を抑えながら手術を進めやすい
・周囲組織への熱ダメージを軽減しやすい
・術後の痛みを抑えられる可能性がある
・回復が比較的スムーズになる場合がある
・手術時間の短縮につながるケースがある
もちろん、すべての手術で負担が大きく減るとは限りません。しかし、犬や猫の体に配慮した外科治療を行ううえで、重要な選択肢のひとつとなっています。
手術時間の短縮がもたらす安心感|シニアや持病のある子にも配慮
犬や猫の手術では、「どのような手術を行うか」だけでなく、「どのくらい麻酔時間が続くか」も大切なポイントになります。
特にシニア期の犬や猫では、加齢によって心臓や腎臓などの機能が低下している場合があります。また、心疾患や内分泌疾患などの持病がある子では、「麻酔に耐えられるだろうか」と不安を感じる飼い主様も多いのではないでしょうか。
ソノサージは、組織の切開と止血を同時に行えることから、手術内容によっては処置時間の短縮につながる場合があります。手術時間が短くなることで、麻酔時間の短縮につながる可能性もあり、その結果、シニア期の犬や猫や体力が低下している子への負担軽減が期待できます。
また、出血量を抑えながら処置を進めやすくなることで、全身状態への影響を少なくできる場合もあります。
ただし、「高齢だから必ず危険」「ソノサージを使用すれば絶対に安全」というわけではありません。大切なのは、その子の年齢や持病、現在の全身状態を丁寧に確認したうえで、適切な治療方法を選択することです。
なお、当院では術前検査を通して体の状態をしっかり確認し、それぞれの子に合った治療方法をご提案しています。
「できるだけ体への負担を減らしたい」「麻酔が心配で、なかなか手術に踏み切れない」といったお気持ちにも寄り添いながら、飼い主様と一緒に治療について考えていくことを大切にしています。
ソノサージが適応となる手術の例
ソノサージは、主に出血リスクを伴う軟部外科手術で使用されます。
例えば、以下のような手術で活用される場合があります。
・胆嚢摘出手術
・脾臓摘出手術
・一部の腫瘍切除手術
これらの手術では、細かい血管処理が必要になる場面も多く、出血管理が重要になります。そのため、切開と止血を同時に行えるソノサージが役立つケースがあります。一方で、すべての手術でソノサージを使用するわけではありません。
当院では、一般的な避妊・去勢手術では半導体レーザーを使用し、麻酔時間や体への負担をできるだけ抑えられるよう努めています。
つまり、「新しい機器を使うこと」が目的ではなく、それぞれの手術内容や体の状態に合わせて、適切な方法を選択することが重要だと考えています。
当院の考え方|痛みの少ない安全な医療を目指して
当院では、犬や猫の外科・内科・皮膚科・眼科など、幅広い診療に対応しています。また、犬や猫それぞれの年齢や体調、生活環境に合わせた治療をご提案しています。
外科治療では、ソノサージや半導体レーザーなどの医療機器を活用しながら、できるだけ痛みや体への負担を抑えられるよう努めています。
しかし、当院が大切にしているのは、単に新しい医療機器を使用することではありません。「その子にとって本当に必要な治療は何か」「飼い主様が十分に納得したうえで治療を選択できるか」などといった点を大切にしながら、一緒に治療方針を考えていきます。
また、CT検査やMRI検査、高度な専門治療が必要な場合には、大学病院や二次診療施設へのご紹介も行っています。院内だけで治療を完結させるのではなく、必要に応じて専門施設と連携しながら、その子にとってより適した医療をご提案できる体制を整えています。
かかりつけ医と専門病院の役割と紹介状のメリットについてより詳しく知りたい方はこちら
なお、病気によっては、長期的な治療や継続的な検査が必要になる場合もあります。そのため当院では、診断時点で今後考えられる変化や治療の見通しについても、できる限り丁寧にお伝えすることを心がけています。
痛みや負担に配慮した医療を通して、犬や猫、そして飼い主様に長く寄り添える「かかりつけ医」を目指しています。
まとめ
ソノサージは、犬や猫の手術において、出血や熱による組織へのダメージを抑えながら処置を進めやすい超音波手術システムです。
また、手術内容によっては処置時間の短縮につながる場合があり、結果として麻酔時間の短縮や、体への負担軽減が期待できることもあります。特に、体力が低下しやすいシニア期の犬や猫や、持病のある子にとっては、負担に配慮した選択肢のひとつといえるでしょう。
ただし、最も大切なのは、「どの機器を使うか」だけではありません。その子の病気や年齢、持病、全身状態などを総合的に確認したうえで、適切な治療方法を選択することが重要です。
当院では、犬や猫の体への負担にできるだけ配慮しながら、飼い主様にも納得して治療を選んでいただけるよう、丁寧な説明を心がけています。
「手術を受けるべきか迷っている」「まずは話だけでも聞いてみたい」といった段階でも問題ありません。愛犬や愛猫の治療について気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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