つるまき動物病院
院長ブログ

シニア犬の目の濁りについて|放っておいても大丈夫?

2024年11月13日

犬の目の健康は、全身の健康とも深く関わっています。犬は自分で視力の異変を訴えることができないため、飼い主様が目の濁りに気づいたとき、不安な気持ちになりますよね。目の変化には、治療が必要ないものから緊急に対応すべきものまで、さまざまな原因が考えられます。そのため、愛犬の目に気になる変化が見られた際には、早めに動物病院を受診することが大切です。

今回はシニア犬の目の濁りについて、原因や治療方法、日常での注意点などを詳しく解説します。

■目次
1.犬の目が濁る主な原因
2.目の濁りを発見したら:まず何をすべき?
3.動物病院での検査と診断
4.治療方法と管理方法
5.目の健康を守るための日頃の注意点
6.まとめ:愛犬の目の健康を守るために

犬の目が濁る主な原因


犬の目が濁って見える主な原因は、以下のようなものが挙げられます。

<加齢による変化(核硬化)>
加齢に伴い、水晶体の中心部が硬くなる核硬化が起こります。これは自然な老化現象であり、視力に影響することはないですが、目が白く見えることがあります。特別な治療は必要ありませんが、定期的にチェックを行いましょう。

<白内障>
白内障は、水晶体が白く濁る病気です。進行すると視力が低下し、最終的には失明することもあります。白内障は加齢が主な原因ですが、遺伝や糖尿病も影響します。犬の白内障ではブドウ膜炎を合併することが多く、ぶどう膜炎を起こすと白目の充血やまぶしそうにする様子(羞明)などの症状が現れます。根本治療には手術が必要な場合が多いです。

<緑内障>
緑内障は、眼圧が上昇し視神経にダメージを与える病気です。初期症状として目の充血や痛みが見られ、緑内障は視力を急速に失う可能性があるため、定期的なチェックと管理が非常に重要です。治療には点眼薬や手術が用いられます。

<角膜の問題(角膜炎、角膜潰瘍など)>
角膜炎や角膜潰瘍は、角膜に炎症や傷が生じる病気です。細菌感染や外傷が原因で、目が白く濁ることがあります。これらは痛みを伴うことが多いです。また、早期の治療が必要で、適切な目薬の使用が効果的です。

<ブドウ膜炎>
ブドウ膜炎は、眼球内のブドウ膜が炎症を起こす病気です。ブドウ膜炎は、全身の感染症や免疫の問題が原因となることも多いです。痛みや充血が見られ、放置すると失明することもあります。そのため、早期の診断と治療が重要です。

目の濁りを発見したら:まず何をすべき?


愛犬の目の濁りを発見したら、以下の3点をひとつずつ確認し対応しましょう。

<犬の様子の観察>
まず、愛犬の行動を観察しましょう。目をこする頻度や行動の変化をチェックします。目をまぶしそうにしょぼしょぼさせるのは痛みのサインである場合もあります。

<ご家庭でできるケア>
目の周りを清潔に保つことが大切です。きれいなガーゼなどで目やにを優しく拭き取り、清潔な環境を維持しましょう。目の周りを触る際には、飼い主様の手も清潔にしてから行いましょう。病気が潜んでいる場合は、これらのケアだけで治すことは難しいため、動物病院を受診しましょう。

<動物病院への相談の重要性>
目の症状が急に現れた場合や痛みを伴う場合は、緊急性が高いです。急速に視力が低下する病気もあるため、すぐに動物病院に相談しましょう。

動物病院での検査と診断


動物病院では眼科の検査として、細隙灯顕微鏡検査や眼圧測定、目の表面の染色による傷の確認などを実施します

細隙灯顕微鏡検査では、目の表面や内部の詳細な状態を確認できます。眼圧測定は、緑内障の診断に不可欠です。目の病気は早期発見・早期治療が予後に大きく影響するため、獣医師の指示に従い、早めに受診と検査を行うことが大切です。

治療方法と管理方法


核硬化の場合は、治療は必要ありません。しかし、その他の病気については原因に応じた治療が必要です。

治療では薬物療法や手術などが一般的であり、獣医師とよく相談して治療方針を決定しましょう。病状によっては定期的な検査が必要になる場合もあります。

目の健康を守るための日頃の注意点


<バランスの取れた食事>
栄養バランスの取れた食事を与え、目の健康をサポートしましょう。また、ビタミンAやオメガ-3脂肪酸を含む食事やサプリメントを取り入れてみましょう。

<適度な運動>
適度な運動は全身の健康を維持し、目の健康にも良い影響を与えます。

<定期的な健康診断>
定期的な健康診断を受けることで、早期に目の異常を発見しやすくなります。特にシニア犬は1年に1〜2回の健康診断を受けることを推奨します。また、健康診断は目の健康だけでなく、全身の健康を守ることにもつながります。

<目の衛生管理>
目の周りを清潔に保ち、異物が入らないように注意しましょう。

まとめ:愛犬の目の健康を守るために


愛犬の目の健康を守るためには、日頃からの観察とケアが重要です。目の濁りを含む目の変化に気づいたら、早めに動物病院を受診しましょう。また、定期的に健康診断を受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。

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