つるまき動物病院
院長ブログ

猫の健康診断は秋がおすすめ|検査内容と腎臓病の早期発見に役立つ尿検査

2026年10月5日

猫は体調不良を隠す傾向があり、病気が進行するまで目立った症状が表れないことがあります。「よく食べているから大丈夫」「普段どおり過ごしているから元気」と思っていても、体の中では少しずつ変化が起きているかもしれません。

病気を早い段階で見つけるためには、症状がないうちから定期的に健康診断を受け、検査結果の変化を確認していくことが大切です。

一方で、猫のなかにはキャリーケースに入ることや動物病院への移動を嫌がる子もいます。当院では、一時的な通院ストレスだけではなく、中長期的な健康にも目を向け、できるだけ負担の少ない時期や方法で健康診断を受けていただきたいと考えています。

今回は、猫の健康診断に秋をおすすめする理由や主な検査内容、腎臓病の早期発見に役立つ尿検査と自宅での採尿方法、通院時のストレスを減らすための工夫について解説します。

■目次
1.猫の健康診断に秋をおすすめする理由
2.猫の健康診断で行う主な検査
3.腎臓病の早期発見には尿検査も大切
4.当院では怖がりな猫の通院・検査にも配慮
5.まとめ

猫の健康診断に秋をおすすめする理由


猫の健康診断は1年を通して受けられますが、当院では秋の受診もおすすめしています。

春は狂犬病予防注射やフィラリア症予防などを目的に犬が多く来院し、院内が混雑しやすい時期です。その点、秋は春と比べて院内が落ち着きやすく、静かな環境で診察や検査を進めやすくなります。

また、暑さが和らいで過ごしやすくなるため、移動中の暑さによる負担を抑えやすいこともメリットです。暑い夏を過ごしたあとには、食欲の低下や体重の変化などがみられることもあります。秋の健康診断は、夏を越えたあとの体調を確認するよいきっかけになるでしょう。

ただし、食欲がない、何度も吐く、尿が出にくいなどの症状がある場合は、秋まで待たず早めにご相談ください。

猫の健康診断で行う主な検査


当院では、猫の年齢や体調、これまでの病歴、飼い主様のご希望などを踏まえ、必要な検査をご提案しています。健康診断で行う主な検査は、以下のとおりです。

<血液検査>
血液中の成分を調べ、腎臓や肝臓などの状態、血糖値、貧血や炎症の有無などを確認します。見た目だけでは分からない体内の変化を捉えるために役立つ検査です。

<尿検査>
尿の濃さやpH、タンパク、糖、潜血、結晶などを調べます。腎臓病や膀胱炎、尿石症、糖尿病などを疑うきっかけになることがあります。

<エコー検査>
超音波を使い、腎臓や膀胱、心臓、肝臓、消化管などの形や内部の状態を観察します。臓器の形態的な変化や結石、しこりなどの確認に役立ちます。放射線を使用せず、体を大きく傷つけることもないため、比較的負担の少ない検査です。

<レントゲン検査>
胸部や腹部を撮影し、心臓や肺、各臓器の大きさや位置、骨の状態などを確認します。尿路結石の一部や関節・骨の異常などが見つかることもあります。

<便検査>
便の状態や寄生虫、その卵、消化されていないものなどがないかを調べます。下痢や軟便などの症状がある場合には、原因を検討するための手がかりになります。

若い猫では、費用も含めて飼い主様と相談しながら、血液検査や尿検査などから必要な検査を選びます。費用を抑えて健康状態を確認したい場合は、尿検査から始める方法もありますが、尿検査だけですべての病気が分かるわけではありません。

シニア期の猫には、血液検査に加えて、腎臓の状態を詳しく確認するための尿検査やエコー検査を組み合わせることをおすすめしています。また、症状や診察結果に応じて、レントゲン検査や便検査などを追加します。

腎臓病の早期発見には尿検査も大切


猫の健康診断では、血液検査だけでなく尿検査も大切です。猫に多い慢性腎臓病では、初期の変化を血液検査だけで捉えることが難しい場合があります。

前述したように尿検査では、尿の濃さやタンパク、糖、潜血、結晶などを調べます。腎臓が尿を濃くする力の低下など血液検査だけでは捉えにくい変化が見つかることもあるため、両方の結果をあわせて評価することが重要です。

尿検査を行うための尿は、院内で採取をすることが可能です。当院では、オスの場合、尿道カテーテルを用いて採尿できることがあります。一方、メスは尿道カテーテルによる採尿が難しいこともあるため、膀胱に細い針を刺して尿を採取する膀胱穿刺を検討します。採尿方法は、猫の性別や体調、膀胱にたまっている尿の量、検査目的などに応じて判断します。

院内での採取に抵抗がある場合には、ご自宅で採取した尿をお持ちいただきます。採尿用の容器は事前に当院でお渡しし、採り方もご説明します。

システムトイレを使用している場合は、下段のペットシーツを抜く、または吸水面を下にして裏返し、たまった尿を採取します。ペットシーツへ直接排尿する猫の場合も、シーツを裏返しておくと尿が吸収されず、採りやすくなります。

ご自宅での採尿が難しい場合には、事前に当院へご相談ください。猫の排尿状況を確認したうえで、尿がある程度たまるタイミングに合わせてご来院いただく方法をご案内します。ただし、自己判断で長時間にわたって無理に排尿を我慢させることは避けましょう。

猫の腎臓病についてより詳しく知りたい方はこちら

当院では怖がりな猫の通院・検査にも配慮


慣れない場所や音、においに敏感な猫にとって、動物病院への通院は負担になることがあります。当院では、できるだけ静かな環境を整え、猫の様子を確認しながら、診察や検査をスムーズに進めるよう心がけています。

キャリーケースには、普段使用しているタオルや毛布を入れておくと、落ち着きやすくなる場合があります。また、日頃からキャリーケースを室内に置き、猫が自由に出入りできるようにしておくことも通院対策のひとつです。

どうしても強く緊張してしまう場合や、過去の受診時に大きなストレスがかかった場合には、来院前に使用するお薬をご提案できることもあります。猫の状態によって使用できる薬や注意点が異なるため、受診前にご相談ください。

まとめ


「病院が苦手だから、元気なうちは連れて行かなくてもよいのでは」と迷う飼い主様もいらっしゃるかもしれません。しかし、症状を隠しやすい猫だからこそ、元気に見える時期の健康診断が大切です。

秋は気候が穏やかで、春よりも院内が落ち着きやすいため、猫の健康診断を受けるきっかけにしやすい季節です。特にシニア期の猫では、血液検査だけでなく、尿検査やエコー検査を組み合わせることで、腎臓をはじめとする体の変化を多角的に確認できます。

当院では、猫の性格や年齢、体調に配慮しながら、その子に合った検査内容をご提案します。秋の健康診断をご希望の方や、通院・採尿について不安なことがある方は、事前に当院へご相談ください。

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