猫の便秘が続くと危険?巨大結腸症のサインと早めに受診したい理由
「最近、便が硬くなった気がする」「トイレに何度も入るのに少ししか出ていない」といった変化に気づくと「動物病院を受診したほうがよいのか、それとももう少し経過を見てもよいのか」と迷われる飼い主様も多いのではないでしょうか。
特に夏の終わりは、暑さによる疲れから胃腸の働きが低下しやすい時期です。さらに秋から冬にかけて気温が下がると、水を飲む量が減る猫も多く、便秘が悪化しやすくなる傾向があります。
猫の便秘は珍しい症状ではありません。しかし「少し出ているから問題ない」と考えて放置すると、腸に便がたまり続け、自力で排便するのが難しくなる「巨大結腸症」へ進行する場合があります。
早い段階で便秘に気づき、食事や生活環境を見直したり、必要に応じて治療を始めたりすることで、重症化を防げる可能性があります。
今回は、猫の便秘で早めに気づきたいサインや巨大結腸症との関係、ご家庭でできる予防の工夫について解説します。
■目次
1.「出ない」だけではない|猫の便秘に早く気づくためのサイン
2.猫の便秘を放置すると「巨大結腸症」になることがあります
3.当院の便秘治療|状態に合わせた無理のないコントロール
4.自宅でできる便秘対策|食事と水分の工夫が予防につながります
5.便秘を繰り返す猫は、一度原因を調べることが大切
6.まとめ
「出ない」だけではない|猫の便秘に早く気づくためのサイン
便秘と聞くと「何日も便が出ない状態」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には「出にくい状態」も便秘の始まりです。
便が少しずつ出ていても、普段より排便しづらくなっている場合は、腸に負担がかかっている可能性があります。
例えば、以下のような変化がみられた場合は注意が必要です。
・トイレへ何度も出入りする
・トイレにいる時間が長く、何度もいきむ
・硬い便や小さな便が続く
・便の表面に少量の血が付く
・排便時に鳴いたり、つらそうな様子を見せたりする
さらに便秘が進行すると、腸の中に便がたまり続けるため、食欲の低下や嘔吐などの症状が表れる場合もあります。
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重症になると、お腹が張って苦しそうにしたり、便がたまり過ぎて食事をほとんど摂れなくなったりするケースもあります。
猫の便秘を放置すると「巨大結腸症」になることがあります
猫の便秘で特に注意したい病気のひとつが「巨大結腸症」です。
巨大結腸症とは、大腸の中に便が長期間たまり続けることで腸が大きく広がり、自分の力だけでは便を押し出せなくなってしまう病気です。
最初は軽い便秘だったとしても、便が腸の中に長くとどまるほど水分が吸収され、さらに硬くなっていきます。すると排便がより難しくなり、便がさらにたまるという悪循環に陥ります。
この状態が続くと、伸びきった腸は本来の動きを十分に取り戻せなくなり、内服薬や食事療法だけでは改善が難しくなる場合があります。
そのため、重症例では便を取り除く処置だけでは十分な改善が期待できず、手術が検討されるケースもあります。
もちろん、すべての便秘が巨大結腸症へ進行するわけではありません。しかし「まだ少し出ているから大丈夫」と自己判断して受診が遅れると、治療が長期化する場合があります。
便秘は早めに対処するほど、内科的な治療や食事管理でコントロールできる可能性が高まります。
「いつもより出にくそう」「最近トイレの様子が変わった」と感じた時点で、一度動物病院で状態を確認しておくことが大切です。
当院の便秘治療|状態に合わせた無理のないコントロール
当院では、便秘の原因や進行の程度に合わせて「今たまっている便を出す治療」と「便秘を繰り返さないための治療」の両方を大切にしています。
まず、自力で排便することが難しいほど便がたまっている場合には、指で便を少しずつ取り除く「摘便」や、腸に液体を入れて排便を促す「浣腸」などの処置を行い、腸の中にたまった便を取り除きます。
便秘が進行している場合は、必要に応じて点滴などを組み合わせながら全身状態を整えることもあります。
しかし、便を出す処置だけでは、便秘を繰り返してしまう場合も少なくありません。
そのため当院では、腸の動きを助ける内服薬や、便をやわらかくする薬、必要に応じてサプリメントなどを組み合わせ、その子の体質や生活環境に合わせて無理のないコントロールを目指しています。
便秘の原因や重症度は猫によって異なるため、すべての猫に同じ治療が適しているわけではありません。食事内容や生活環境も含めて総合的に確認し、飼い主様と一緒にその子に合った治療方法を考えていきます。
自宅でできる便秘対策|食事と水分の工夫が予防につながります
猫の便秘を予防するためには、水分をしっかり摂ることと食事を見直すことが大切です。
特に猫はもともとあまり多くの水を飲まない動物です。そのため、秋冬のように気温が下がる時期は飲水量がさらに減り、便が硬くなりやすくなる場合があります。
当院では、ご家庭で取り組める便秘対策として、以下のように「水分を摂りやすい環境づくり」と「猫の状態に合わせた食事選び」をご提案しています。
<水分を摂りやすくする工夫>
水分を摂ってもらうためには、ひとつの方法だけではなく、その子が飲みやすい環境を見つけることが大切です。
例えば、以下のような工夫が役立つ場合があります。
・ウェットフードを取り入れて食事から水分を補う
・水飲み場を複数設置する
・器の素材や深さ、形を変えてみる
・循環式給水器を利用する
猫によって好みは異なるため「どの方法なら飲んでくれるのか」を見つけることが、飲水量を増やす第一歩になります。
<食事の見直し>
便秘の猫では、水分を吸収して便をやわらかくしたり、腸内で便をスムーズに運ぶのを助けたりする「可溶性繊維」を含む療法食が適している場合があります。
市販のフードにも食物繊維を配合したものがありますが、便秘の原因や状態によって適した食事は異なります。そのため「便秘にはこのフードがよい」と自己判断するのではなく、動物病院で猫の状態を確認したうえで、適した食事を選ぶことが大切です。
当院では、便の状態や体質を確認したうえで、その子に合った食事をご提案しています。
便秘を繰り返す猫は、一度原因を調べることが大切
便秘は、単なる体質だけが原因とは限りません。
加齢によって腸の働きが低下している場合もあれば、脱水や生活環境の変化、運動量の低下、病気など、さまざまな要因が関係しているケースもあります。
そのため、何度も便秘を繰り返す場合は、原因を確認しながら治療や食事管理を続けていくことが再発予防につながります。
当院では、まず内科的な治療を基本に、その子の症状や生活環境に合わせた治療をご提案しています。
また、内科治療だけでは改善が難しい場合には、外科的な治療も含めて検討し、さらにCT検査やMRI検査、高度な治療が必要と判断した際には、専門施設や二次診療施設と連携しながら、その子に適した治療方法を飼い主様と一緒に考えていきます。
まとめ
猫の便は、毎日の健康状態を知るための大切なバロメーターです。
「少し出ているから大丈夫」と自己判断してしまうと、便秘が進行し、巨大結腸症のように自力で排便できなくなる状態へ発展する可能性があります。
また、しつこい便秘は体質だけではなく、病気や生活環境が関係している場合もあります。早い段階で食事や水分の摂り方を見直したり、適切な治療を始めたりすることで、重症化を防げる可能性があります。
排便の回数だけでなく、便の硬さや大きさ、トイレでの様子なども日頃から確認し、普段と違う変化が続く場合は早めに相談することが大切です。
当院では、猫の便秘に対する内科的な治療を基本に、食事や生活環境の見直しも含め、それぞれに合わせた管理方法をご提案しています。必要に応じて外科的な治療や専門施設との連携も行いながら、飼い主様と一緒に、その子に合った治療を考えてまいります。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
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