世田谷区の獣医師直伝!湿度管理と予防|シニアの犬や猫の呼吸器疾患について

最近愛犬や愛猫が「よく咳をしている」「呼吸が浅くて早い気がする」そんな変化を感じたことはありませんか?それは、年齢を重ねた犬や猫が呼吸器疾患を発症しているサインかもしれません。
犬や猫もシニア期に入ると、さまざまな臓器機能が少しずつ低下していきますが、中でも呼吸器は特に影響を受けやすい部位のひとつです。特に季節の変わり目や湿度の変化が激しい時期は、症状が悪化しやすいため注意が必要です。
今回はシニア期の犬や猫がかかりやすい呼吸器疾患について、その原因や初期症状、ご家庭でできる予防法などをご紹介します。
■目次
1.シニアの犬や猫が呼吸器疾患にかかりやすい理由
2.見逃しやすい呼吸器疾患のサイン
3.呼吸器疾患を防ぐための予防法
4.まとめ
シニアの犬や猫が呼吸器疾患にかかりやすい理由
犬や猫は、7歳を過ぎた頃から年齢とともに、免疫機能や肺の弾力性が少しずつ低下し始めます。これによりウイルスや細菌への抵抗力が弱まり、空気の通り道である気道や肺に炎症が起きやすくなります。さらに、加齢によって筋力も衰えるため、呼吸そのものが浅く、速くなりがちです。
こうした身体の変化により、以下のような呼吸器疾患がシニア期に多く見られるようになります。
・慢性気管支炎:乾いた咳が続き、特に運動後に悪化しやすい傾向があります。
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・気管虚脱:小型犬で多く見られ、呼吸時に「ガーガー」という異音が聞こえることがあります。
・肺炎:細菌やウイルスの感染によって発熱や元気消失、咳が見られ、慢性疾患を持つ犬や猫ではリスクが高まります。
・鼻炎・副鼻腔炎:鼻水やくしゃみが長引き、食欲の低下を伴うこともあります。特に鼻の構造が狭い犬種や、アレルギー体質の犬や猫に多い傾向があります。
これらの病気は放置すると慢性化し、重症化して命に関わることもあります。そのため、早い段階で変化に気づき、予防のために生活環境を見直すことが大切です。
見逃しやすい呼吸器疾患のサイン
呼吸器疾患は、初期段階でははっきりとした症状が出にくいため、見逃されやすいです。しかし、日々のちょっとした変化が早期発見につながることも少なくありません。以下のような症状が見られたら、早めに動物病院に相談しましょう。
・乾いた咳、または湿った咳が断続的に出る
・呼吸が浅くなったり、速くなったりする
・散歩を嫌がる、もしくは動きたがらなくなる
・鼻水やくしゃみが長引く
・呼吸時にヒューヒュー・ゼーゼーという異音が聞こえる
特にパグやペキニーズなどの短頭種は、もともと気道が狭く呼吸器に負担がかかりやすいため、注意が必要です。一方、猫は体調不良を表に出しにくく、「なんとなく静か」「寝ている時間が増えた」など、些細な変化が病気のサインであることもあります。
呼吸器疾患を防ぐための予防法
呼吸器疾患は、生活環境を整えることである程度予防することができます。以下のようなポイントに注意し、犬や猫が快適に過ごせる空間づくりを心がけましょう。
<室内湿度の管理>
適切な湿度(40〜60%)を保つことで、気道の粘膜を保護し、ウイルスや細菌の侵入を防ぐことができます。乾燥が気になる季節には加湿器を、湿度が高い時期には除湿機を活用して、室内の湿度を一定に保ちましょう。
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<空気清浄機の活用>
空気中のホコリや花粉、アレルゲンを除去することで、呼吸器への刺激を減らすことができます。特に換気が不十分になりがちな冬場には、空気清浄機が有効です。フィルターの掃除も忘れずに行いましょう。
<室温維持と寒暖差対策>
寒暖差が大きいと身体にストレスがかかり、免疫力が低下してしまいます。エアコンやヒーター、ホットカーペットなどを使い、急激な温度変化を防ぐようにしましょう。
<定期的な換気>
室内の空気がこもってしまうと、二酸化炭素濃度が上がり、呼吸が浅くなることがあります。1日に数回、数分間でも窓を開けて換気するだけで、室内の空気環境が改善されます。
<肥満の管理>
肥満は気管や肺に負担をかけるため、呼吸が苦しくなる原因になります。特にシニア期は基礎代謝が低下して太りやすくなるため、日常的な体重管理と適度な運動、栄養バランスを考えた食事の工夫が大切です。呼吸器疾患を予防するうえでも、肥満対策は見逃せません。
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まとめ
シニア期の犬や猫にとって、呼吸器疾患は決して珍しいものではありません。しかし、早期に気づき、適切な環境づくりやケアを行うことで、重症化を防ぐことができます。
大切なのは、日々の小さな変化に気づくことです。「いつもより静か」「ちょっと咳をしていた」「寝ている時間が長い」そんな何気ない観察が、早期発見と健康維持に繋がります。
そして、湿度や温度、空気の質といった目に見えにくい要素も、犬や猫の健康を支える重要なポイントです。「まだ元気だから大丈夫」と思わずに、今日からできる環境改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
当院では、シニア期の犬や猫が快適に過ごせるよう、生活環境の整え方や日常ケアについてのご相談も承っております。少しでも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
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