つるまき動物病院
院長ブログ

愛猫が突然ご飯を食べなくなってしまった…|要注意のサインと適切な受診タイミングを徹底解説

2025年2月28日

愛猫が、突然ご飯を食べなくなった様子を見ると、飼い主様は不安でたまらないですよね。猫の食欲不振は、軽い体調不良から命に関わる病気まで、さまざまな原因が考えられます。そのため、「すぐに動物病院へ行くべき状態」と「様子を見てもよい状態」の見極めが大切です。

今回は猫の食欲不振について、緊急性の判断基準や受診の目安、飼い主様が自宅でできる応急処置などを解説します。

これらは実際の診療経験に基づく情報ですので、ぜひ参考にしてください。

■目次
1.すぐに受診が必要な危険なサイン
2.食欲不振のよくある原因
3.食欲不振の見極め方と観察のポイント
4.受診前にできること
5.動物病院での診察の流れ
6.まとめ:早期発見・早期治療の重要性

すぐに受診が必要な危険なサイン


猫が食事をとらないとき、以下のような症状があれば一刻を争う可能性があります。迷わず動物病院を受診してください。

<2日以上続く食欲不振>
猫は24時間以上食事を取らないだけでも体に負担がかかりますが、48時間以上食べない場合は、肝リピドーシス(脂肪肝)などの危険があります。

<嘔吐・下痢を伴う場合>
特に嘔吐・下痢に血が混じる場合は緊急性が高いです。

<急激な体重減少>
短期間で体重が10%以上減少する場合は危険です。

<元気や反応が極端に低下>
ぐったりしている、呼びかけに反応しない場合は要注意です。

<呼吸が荒い・苦しそう>
口を開けて呼吸する「開口呼吸」は緊急事態です。

<意識がもうろうとする>
反応が鈍くなったり、ショック状態になったりする場合は命に関わる可能性があります。

特に高齢猫や基礎疾患を持つ猫は要注意です。高齢猫は症状が分かりにくく、腎臓病や糖尿病などを抱えている場合は、わずかな不調が命に直結します。普段から元気や食欲、排泄の状態を把握し、異変を見逃さないようにしましょう。

食欲不振のよくある原因


猫が食事を拒む理由はさまざまです。原因を知ることで、飼い主様が早期に対応できるようになります。

<ストレス>
猫は環境の変化に敏感です。引っ越しや模様替え、新しい犬や猫のお迎え、大きな音などがストレスとなり、食欲を失うことがあります。ストレスの場合は隠れる、攻撃的になる、毛づくろいが増えるなどの行動の変化が見られます。

<体調不良や病気>
軽い風邪や胃腸炎のほか、次のような病気も食欲不振の原因です。

口腔内の疾患(歯周病・口内炎):口臭やよだれが特徴です。
腎臓病:特に高齢猫に多く、食欲不振や多飲多尿が初期症状です。
甲状腺機能亢進症:食べているのに痩せる場合は要注意です。
腫瘍(がん):特に胃腸や肝臓の腫瘍は食欲低下を引き起こします。

<食事の問題>
急なフード変更:猫は変化に敏感なため、フードは徐々に切り替えましょう。
食器の問題:深い器や金属製でヒゲが触れるのを嫌がる場合は平皿に変更すると良いでしょう。
給餌場所のストレス:静かで安心できる場所を選びます。

<季節による影響>
夏の場合、暑さで食欲が落ちることがありますが、数日以上続く場合は注意が必要です。

ストレスや環境変化が原因の場合は環境を整えれば数日で食欲が戻りますが、2日以上食べない・嘔吐や下痢を伴う・体重が急激に減少する場合はすぐに獣医師へ相談してください。

食欲不振の見極め方と観察のポイント


猫の食欲不振に気づいたら、まずは日頃の様子と比べて以下のポイントを観察しましょう。

<食事量の変化>
普段の食事量と比べてどれくらい減ったかを記録します。

<食べ方の変化>
食べこぼしや咀嚼の様子などに異常はないか確認します。

<水分摂取の確認>
水を飲む量も重要な健康バロメーターです。飲水量が大幅に減少または増加していないか確認しましょう。

<便や尿の状態>
便秘や下痢、尿の回数なども体調を知る手がかりです。

<体重測定>
1週間ごとの体重記録を習慣にしましょう。急激な減少は危険です。

受診前にできること


受診前に飼い主様ができる応急対応としては、以下の方法があります。

<食事の工夫>
フードを温めて香りを立たせたり、ウェットフードを少量与えてみたりします。また、直前にフードを変えた場合は元のフードに戻してみましょう。

<環境調整>
静かで落ち着ける場所で、食事ができるようにします。

<安静にさせる>
無理に動かさず、体力を消耗しないようにしましょう。

【してはいけないこと】
<無理な給餌>
無理やり口にフードを食べさせると、猫がさらにストレスを感じます。

<人間用の市販薬の使用>
猫には有害な成分が含まれている場合があります。人間用の薬は絶対に与えず、必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。

【かかりつけ医への連絡タイミング】
前述したように、食欲不振が2日以上続く場合や嘔吐・下痢・体重減少などの症状が併発する場合は、速やかに動物病院に連絡してください。

動物病院での診察の流れ


初めて受診する際は、以下のような内容が問診で尋ねられることがあるため、事前に整理しておくとスムーズです。

症状の開始時期と経過:「いつから」「どのような様子か」など詳細を説明できるようにしましょう。
普段の食事内容:フードの種類や量をメモしておきます。
便や尿の状態:色や回数、異常があれば伝えましょう。
過去の病歴や持病:特に基礎疾患があれば忘れずに申告しましょう。

<診察で行われる主な検査>
身体検査:口腔内やお腹の触診などをチェックします。
血液検査:腎臓病や感染症の有無を調べます。
レントゲン・超音波検査:腫瘍や消化器系の異常を確認します。

<初診時に準備しておくもの>
・食事や症状を記録したメモ
・便や尿の写真や実物(必要な場合)
・過去の診療記録やワクチン証明書

まとめ:早期発見・早期治療の重要性


猫の食欲不振は、飼い主様が早期に異変を察知できる大切なサインです。特に高齢猫や持病がある猫は、日頃からの観察が命を守るカギです。「少し様子を見よう…」と迷う間に症状が進行することもあるため、不安を感じたら迷わず獣医師に相談しましょう。

大切な家族である愛猫が1日でも早く元気を取り戻せるよう、飼い主様の行動が何よりの支えとなります。

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