つるまき動物病院
院長ブログ

高齢猫の体重管理完全ガイド | 適正体重の保ち方から注意点まで詳しく解説

2025年1月27日

高齢猫は基礎代謝や筋肉量が低下するため、徐々に体重が落ちていきます。体重の減少は加齢に伴う変化であるため、仕方がないことではあるものの、体重が落ちると健康に悪影響を及ぼします。そのため、適度な運動や適切な食事管理などによって体重管理を行うことで、健康を維持することができます。

今回は高齢猫の体重管理について、年齢による変化や体重変化のサイン、体重管理の方法などを解説します。

■目次
1.高齢猫の体重変化:年齢による変化を理解しよう
2.高齢猫の適正体重とは?
3.要注意!体重変化のサイン
4.適正体重を保つための食事管理
5.高齢猫の運動管理と生活サポート
6.まとめ:健康的な高齢期を過ごすために

高齢猫の体重変化:年齢による変化を理解しよう


猫は加齢に伴い、基礎代謝が落ちて食事量が減ります。そして運動量が低下することにより、次第に筋肉量が減っていきます。そのため、高齢猫は徐々に体重が落ちていきます

筋肉量の低下は後ろ足から始まることが多く、痩せすぎると後ろ足が立たなくなります。さらに免疫力が低下して感染症に罹りやすくなるため、健康に大きな影響を与えます。

ただし、メインクーンなどの大型の猫種では、加齢に伴い体重が増えやすい傾向にあります。

高齢猫の適正体重とは?


猫の適正体重は個体差が大きいため、体重だけでは痩せているか、太っているかを判断することができません。そのため、一般的には体型スコア(BCS)を用いて、体重が適正範囲にあるかどうかを判断します。

<BCS1(痩せ型)>
肋骨や腰骨が浮き出ていて、横から見るとお腹が深くへこみ、上から見ると腰が深くくびれている。

<BCS2(やや痩せ型)>
肋骨や腰骨の上にわずかに脂肪がついているものの、骨格が浮き出ていて、背骨や肋骨に容易に触れられる。

<BCS3(理想体型)>
肋骨に触れるが、骨格は浮き出ていない。横から見ても上から見てもなだらかなくびれがある。

<BCS4(やや肥満型)>
肋骨の上に脂肪がついていて、かろうじて骨格に触れられる。脇腹のひだが垂れ、歩くと揺れる。

<BCS5(肥満体型)>
肋骨や脂肪が厚い脂肪に覆われていて触れない。上から見てもくびれはほとんどなく、脇腹のひだが垂れて揺れる。

BCSはご自宅でも確認することができます。普段から愛猫の背骨や肋骨を触ったり、上から腰のくびれを見たり横から脇腹のひだの垂れ具合を見たりして、定期的にチェックするようにしましょう。

また、体重だけでなく、皮膚の状態や毛艶なども健康の指標の一つになります。高齢になると皮膚が薄くなって乾燥したり、毛艶がなく毛玉が増えたりしますが、脱毛や湿疹などが見られる場合は治療が必要になる可能性が高いため、動物病院を受診しましょう。

要注意!体重変化のサイン


加齢による体重の減少は緩やかであることが多く、急激に体重が変化した場合は病気が原因である可能性が考えられます。特に、以下の症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

・急にごはんを食べなくなった
・ごはんを食べづらそうにしている
・元気がなくぐったりしている
・嘔吐や下痢が続いている など

適正体重を保つための食事管理


高齢の猫は消化機能が低下しているため、一度にたくさんの食事を与えるよりも、少量をこまめに与える方が適しています。そのため、1日の食事量を3〜4回程度に分けて与えるようにすると良いでしょう。

また、成猫よりも食欲が落ちるため、少量でもたくさん栄養が摂れる高齢猫用のフードを与えます。食事量はフードの種類や体重などによって異なるため、必ずフードのパッケージを確認し、都度計量しましょう。

ただし、成猫用のフードから高齢猫用のフードに切り替える時、一気に切り替えてしまうとお腹を壊したり、いつもと違う味に警戒して食べなかったりすることがあります。そのため、成猫用のフードに高齢猫用のフードを少しだけ混ぜ、問題なければ徐々に高齢猫用フードの割合を増やして切り替えるようにしましょう。

高齢猫は食が細くなるため間食を与えたくなりますが、間食を与えるとお腹が満たされ、主食であるキャットフードを食べなくなってしまう恐れがあります。そのため、基本的には間食は与えず、食欲を増進させたい時にうまく取り入れるようにしましょう。

高齢猫の運動管理と生活サポート


高齢猫は運動量が減り、寝ている時間が徐々に増えていきます。運動不足は筋肉量の低下を招くため、最低でも1日1回、10分程は運動をすると良いでしょう。

足腰がしっかりしているうちはキャットタワーやキャットウォークなどを活用し、上下運動を積極的に取り入れてみてください。段差の上り下りが難しい場合は猫じゃらしやネズミのおもちゃなどを使って、猫の狩猟本能を刺激しつつ、低い場所での運動を心がけましょう。

また、生活スペースからなるべく段差をなくすことも大切です。トイレを跨げなくなると粗相が増えることもあるため、スロープを設置したりして、足腰を労ってあげましょう。

まとめ:健康的な高齢期を過ごすために


高齢の猫にとって、適正体重を維持することは健康を守る上で欠かせないポイントです。BCSを利用した体型チェックや、定期的な健康診断を受けることで、早期に異常を発見し対処することが可能になります。

また、適切な食事管理と運動、生活環境の工夫によって、愛猫の健康をサポートすることができます。高齢期特有の変化を理解しながら、日々のケアを行うことで、愛猫との幸せな時間をより長く楽しむことができるでしょう。定期的に愛猫の健康状態を確認し、必要に応じて動物病院に相談することを忘れずに、愛猫の健康を守っていきましょう。

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