つるまき動物病院
院長ブログ

シニア期の犬や猫の麻酔について|安全な麻酔とは?

2024年9月11日

シニア期の犬や猫は歯石除去や腫瘍の切除、持病の悪化などに伴い、麻酔をかける処置を検討しなければならない状況が増えてきます。しかし、シニア期の犬や猫に麻酔をかけることに対して「麻酔から目が覚めないのではないか」「回復が遅いのではないか」といった不安を抱える飼い主様も多く、治療を躊躇されることは少なくありません。

今回はそのような不安を少しでも解消できるよう、シニア期の犬や猫の麻酔についてご紹介します。

■目次
1.シニアペットの麻酔って大丈夫?
2.獣医師が行う事前チェック
3.シニアの犬や猫に優しい麻酔の工夫
4.麻酔中はこのように見守ります
5.麻酔後のケア
6.飼い主様にできること
7.まとめ

シニアペットの麻酔って大丈夫?


シニア期の犬や猫では、主に以下のような病気が多く見られます。

・心肺機能の低下(心筋症など)
・甲状腺や副腎皮質ホルモンの異常
・腎機能や肝機能の低下 など

麻酔は怖いというイメージを持たれがちですが、事前にこれらの病気の有無や全身状態をしっかりと把握し、適切な麻酔計画を立てることで、シニア期の犬や猫でも安全に麻酔をかけることが可能です。

獣医師が行う事前チェック


麻酔をかける際に重要なのが術前検査です。
術前には以下のような検査を行い、基礎疾患がないか、体格は適正かどうかなどを判断します。

・基本的な触診、聴診
・血液検査
・レントゲン撮影

また、不安点や持病がある場合は追加でエコー検査を行います。

シニアの犬や猫に優しい麻酔の工夫


麻酔を行う方法は犬や猫の状態に応じて異なり、特に鎮静剤や鎮痛剤の組み合わせを調整することがよくあります。例えば、心肺機能に不安がある場合は呼吸抑制が少ない薬を選び、肝臓に問題がある場合は肝臓への負担が少ない薬を選ぶなど、それぞれの持病や懸念点に合わせて最適な薬剤を選び、麻酔計画を立てます。

麻酔中はこのように見守ります


獣医師は執刀・助手を務め、動物看護師が器具の準備や麻酔管理をサポートします。また、獣医師は手術を進める中で、常に動物の状態やバイタルモニターに注意を払い、具体的な麻酔管理の指示を出します。手術中は心拍数や血圧、血中酸素濃度、吸気と呼気中の麻酔濃度などを常に監視し、これらの指標に基づいて麻酔濃度の調整や薬の追加を行います。

麻酔後のケア


麻酔後のケアとして、手術後は犬や猫が確実に覚醒し、意識がはっきりするまで獣医師や看護師が付き添います。その後、自宅での管理が問題ないと判断されれば退院が許可されます。自宅に戻った後の飲水や食事については、獣医師の指示に従って行いましょう。

飼い主様にできること


麻酔をかける前には、絶食・絶水が必要です。その際は事前に病院から指示があるので、その通りに食事を控えてください。麻酔時は胃の中に食べ物が残っていると危険であるため、必ず指示を守りましょう。麻酔後に全く食欲がなく、元気がない状態が続く場合は、速やかに動物病院へ連絡してください。

まとめ


シニア期の犬や猫でも全身状態を把握し、しっかりとした麻酔計画を立てることで、過度に麻酔を恐れる必要はありません。術前には獣医師と十分に話し合い、リスクの程度や手術内容をよく理解しておくことが重要です。また、不安な点は事前にできるだけ解消しておきましょう。

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