つるまき動物病院
院長ブログ

シニア犬の“なんとなく元気がない”は肝臓から?季節の変わり目に気をつけたいサインと対策

2025年12月11日

「最近、なんだか元気がない」「ここ数日フードを残すようになった」「散歩に行きたがらない」そんな小さな変化を感じたことはありませんか?

シニア期の犬では、わずかな体調の変化がそのまま内臓の負担を映していることがあります。特に季節の変わり目(春・秋)は、気温差や湿度の変化によって体温調節が難しくなり、さまざまな臓器に負担がかかる時期です。

その中でも、肝臓の不調は「これといった症状が出ないまま進む」ことが多く、飼い主様が気づくタイミングが遅れてしまいやすいのです。

そこで今回は、シニア犬の肝臓が弱りやすい理由と季節変化との関係、そしてご家庭でできるケアや動物病院での検査について紹介します。

■目次
1.肝臓が担う役割とは?
2.季節の変わり目が体に与える影響
3.こんな様子が見られたら要注意!
4.日常でできるシニア犬の肝臓ケア
5.肝臓の健康状態は「血液検査」でわかる
6.まとめ

肝臓が担う役割とは?


肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少ダメージを受けても症状が出にくい臓器です。ところが、肝臓は生命維持に欠かせない多くの働きを担っています。

〈肝臓の主な役割〉
代謝(栄養素の分解・合成)
食べたものを体が使いやすい形に変換し、必要な栄養素を作り出します。

解毒(老廃物の処理)
体に有害な物質や薬の成分、老廃物を処理して体外に運びます。

消化のサポート(胆汁の生成)
脂肪の消化を助ける胆汁を作り、消化器の働きをサポートします。

このように肝臓は“化学工場”のような多機能な臓器で、体内のあらゆる機能と深く関わっています。

しかし、年齢を重ねると代謝が落ち、肝臓への負担が蓄積しやすくなります。さらに見た目には分かりにくいため、不調を見逃してしまうことも珍しくありません。

季節の変わり目が体に与える影響


春や秋は、犬の体にとって意外と負担の大きい季節です。気温だけでなく、湿度や気圧の変化が重なり、自律神経が乱れやすくなります

自律神経の乱れは食欲不振や疲労感につながり、結果的に肝臓の負担が増えてしまうことがあります。

特にシニア犬は体温を一定に保つ力が弱くなりやすいため、外気温の変化に敏感です。

「春や秋になると体調を崩す」という子は、肝臓を含めた内臓の疲れが隠れている可能性があります。

こんな様子が見られたら要注意!


肝臓は症状が出にくいため、飼い主様の“ちょっとした違和感”が何よりの手掛かりです。以下のような変化が見られる場合は、肝臓の負担が原因の可能性があります。

〈気づいてほしい変化〉
・食べムラや偏食が出てきた
・ぐったりして寝ている時間が増えた
・お散歩のペースが遅くなった
・尿の色がいつもと違う(濃い・薄いなど)
・便の色やにおいが変わった
・毛艶が悪くなった、フケが増えた
・体重が少しずつ減ってきた、筋肉が落ちてきた
・口や体のにおいが強くなった

「なんとなく元気がない」が数日続く時点で、肝臓を含む内臓のチェックが必要です。

日常でできるシニア犬の肝臓ケア


肝臓の負担を減らすために、飼い主様がご家庭でできる工夫はたくさんあります。特別なことではなく、生活習慣の中で無理なく取り入れられるケアが大切です。

◾️フードの見直し
肝臓は栄養処理に深く関わるため、食事の質が肝臓の負担に直結します。脂肪を控えめにし、必要に応じて肝臓サポートの療法食に切り替えることで、負担を大きく減らすことができます。

◾️水分補給の工夫
脱水は肝臓の負担を一気に高めます。いつでも新鮮な水を飲める環境を整えるのはもちろん、飲水量が少ない子にはちょっとした工夫で自然と水分摂取量を増やすことができます。たとえば、ウェットフードを混ぜたり、水皿を複数の場所に置いたり、スープ状の食事を取り入れる方法などが効果的です。

◾️軽い散歩とリズムのある生活
激しい運動は必要ありませんが、軽い散歩は代謝を整え、肝臓の働きを助けます。毎日決まった時間に歩くことで、自律神経が安定し体調も整いやすくなります。

◾️ストレスを減らす環境づくり
環境の変化、騒音、家族の生活リズムの乱れなど、犬にとってのストレス源は多く存在します。ストレスは内臓の働きを悪化させるため、静かで安心できる環境づくりが大切です。

◾️お手入れやトリミング
毛が絡んでいたり、皮膚が汚れていたりすると、それだけで体に負担がかかってしまいます。

当院では、治療中の子でも安心して受けられるトリミングサービスがありますので、お気軽にご相談ください。

肝臓の健康状態は「血液検査」でわかる


外からではわかりにくい肝臓の状態は、血液検査で数値として確認できます

特に、次のような血液検査の項目は、肝臓の状態を判断する重要な指標となります。

・AST(肝細胞の状態)
・ALT(肝障害の程度)
・ALP(胆汁の流れ、肝臓〜腸の健康)
・T-Bil(黄疸の指標)

これらの数値が高くなっている場合は、肝臓に負担がかかっている可能性があるため注意が必要です。

特にシニア期の犬では、半年に1回の血液検査が推奨されます。目立った症状がないうちから定期的にチェックをすることで、病気の早期発見や、必要なケアの開始につなげることができます。

まとめ


老犬の「なんとなく元気がない」は、肝臓の負担が原因のことも少なくありません。
季節の変わり目は体調を崩しやすい時期のため、小さなサインを見逃さないことが大切です。

何か気になる変化があれば、ぜひお気軽に当院までご相談ください。

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