シニア犬の慢性気管支炎|咳が続く場合の対処法と予防法

シニア犬になると、さまざまな健康上の問題が現れます。その中でも「慢性気管支炎」は注意が必要な呼吸器疾患のひとつです。この病気は長期間にわたって咳が続くことが特徴で、進行すると呼吸困難を引き起こすこともあります。特に季節の変わり目は気温や湿度の変化が大きく、症状が悪化しやすいため注意が必要です。
最近、愛犬が「頻繁に咳をする」「夜中や運動後に咳き込んで苦しそうにしている」そんな様子に気づいたことはありませんか?シニア犬の体はデリケートで、小さな変化が重大な病気のサインであることも少なくありません。
今回はシニア犬の慢性気管支炎について、症状や原因、進行するとどのようなリスクがあるのか、そして具体的な対処法や予防策などを詳しく解説します。
■目次
1.シニア犬の慢性気管支炎とは?
2.慢性気管支炎の主な症状
3.慢性気管支炎の主な原因
4.放置するとどうなる?慢性気管支炎の進行と合併症
5.獣医師に相談すべきタイミング
6.季節の変わり目における予防と管理のポイント
7.まとめ:愛犬のために今できること
シニア犬の慢性気管支炎とは?
慢性気管支炎とは、気管や気管支に慢性的な炎症が続き、長期間にわたって咳が続く病気です。細菌やウイルス感染が原因である急性気管支炎とは異なり、はっきりとした原因が特定できないことも多く、特にシニア犬に発症しやすい傾向があります。
慢性気管支炎の主な症状
慢性気管支炎の代表的な症状は「慢性的な咳」です。以下のような特徴が見られます。
・乾いた咳が長期間続く(ただし、痰が絡むこともある)
・夜間や早朝に咳が悪化する(寝ている間に気道が狭くなるため)
・運動後や興奮時に咳が増える
・呼吸が浅くなり、苦しそうに見えることがある
特に「シニア犬の咳」が長引く場合、単なる風邪やアレルギーではなく、慢性気管支炎の可能性を考慮する必要があります。
慢性気管支炎の主な原因
慢性気管支炎の原因として、以下のような要因が考えられます。
・加齢による気道の変化(気管や気管支の弾力が低下し、炎症が治りにくくなる)
・アレルギーや環境要因(ほこり、花粉、タバコの煙など)
・気管虚脱との関連(特に小型犬で発症リスクが高い)
また、トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなどの小型犬は、気道が狭く、慢性気管支炎を発症しやすいことが知られています。
放置するとどうなる?慢性気管支炎の進行と合併症
慢性気管支炎を放置すると、症状が徐々に悪化し、生活の質が低下するだけでなく、命に関わる合併症を引き起こすことがあります。
<進行すると起こるリスク>
・咳の頻度が増え、持続時間が長くなる
・呼吸が苦しくなり、胸を大きく動かして息をするようになる
・酸素不足によって疲れやすくなり、運動を嫌がるようになる
・心臓病との関連性(気道への負担が心臓に悪影響を及ぼすことがある)
慢性気管支炎は、早期に適切な治療を行うことで進行を抑えられる病気です。咳が長引く場合は「年齢のせい」と自己判断せず、できるだけ早く獣医師に相談しましょう。
獣医師に相談すべきタイミング
慢性気管支炎の初期症状は、風邪やアレルギーと区別がつきにくいため、飼い主様が日頃から愛犬の状態を観察することが重要です。特に、以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。
・夜間の咳が続き、睡眠を妨げるほどひどい
・咳とともに嘔吐することが増えた
・食欲が落ち、元気がなくなった
・散歩中や運動後に呼吸が荒くなる
・横になると苦しそうにする
また、愛犬の咳の様子を動画に記録しておくことで、診察時に獣医師が診断しやすくなります。「どのタイミングで咳が出るか」「どのくらい続くか」をメモしておくと、より適切な治療が受けられるでしょう。
季節の変わり目における予防と管理のポイント
慢性気管支炎は完治が難しいため、日常的な管理と予防がとても重要です。特に季節の変わり目は気温や湿度の変化によって症状が悪化しやすいため、以下のポイントに気をつけましょう。
<室内環境の整え方>
室温は22〜25℃、湿度は40〜60%を目安に調整する
・空気清浄機を活用し、ほこりや花粉を除去する
・タバコの煙を避け、室内の空気を清潔に保つ
<散歩時の注意点>
・寒い日や乾燥した日は、散歩の時間を短くする
・首輪ではなくハーネスを使用する(気管への負担を減らす)
・雨の日や風の強い日は、室内で遊ばせるなど代替の運動を取り入れる
また、清潔な加湿器を使用することや、こまめな歯磨きを行うことも、気管支炎の悪化予防につながります。
まとめ:愛犬のために今できること
シニア犬の慢性気管支炎は、放置すると呼吸困難や心臓病のリスクを高める可能性があります。しかし、早期発見と適切な管理によって症状をコントロールすることが可能です。
愛犬の健康を守るために、長引く咳を「歳のせい」と考えず、異変に気づいたらすぐに獣医師に相談することが大切です。また、かかりつけの動物病院を持ち、定期的な健康チェックを受けることで、より安心して過ごせるでしょう。
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