猫のトイレの失敗が増えた…考えられる原因と改善策|動物病院への相談目安も解説

愛猫が何度もトイレを失敗してしまい、頭を悩ませている飼い主様は少なくありません。原因が多岐に渡ることからなかなか理由がわからず、粗相が続いて掃除に追われる日々を過ごしている方もいらっしゃるでしょう。しかし、トイレの失敗は原因に合った適切な対処を行うことで、改善できる可能性は十分にあります。
今回は、猫がトイレを失敗している場合に考えられる原因やその特定方法、対策などを解説します。
■目次
1.トイレ失敗の具体的なパターンとは
2.考えられる原因と対策
3.トイレ環境の見直しポイント
4.要注意!病気が原因の可能性
5.動物病院への相談の目安
6.失敗した場所のお手入れ方法
7.まとめ
トイレ失敗の具体的なパターンとは
猫のトイレの失敗には、ある程度決まったパターンがあります。一般的に見られるものとして、以下のようなケースが挙げられます。
<トイレの横や周辺での失敗>
トイレの横や周辺で失敗してしまった場合は、何らかの理由でトイレが気に入らなかった可能性があります。また、尿の病気が原因でトイレまで我慢できず、粗相してしまった可能性も考えられます。
<家具や壁際での失敗>
家具や壁際に尿をかけてしまう場合は、マーキングの可能性があります。マーキングは本来縄張りを主張するために行うもので、発情期によく見られます。また、去勢手術を行っていても、ストレスや不安を解消するためにマーキングをすることもあります。
<寝床や人の布団での失敗>
寝床や人の布団で粗相をしてしまった場合は、トイレ環境への不満や病気、マーキングなど、あらゆる原因が考えられます。
考えられる原因と対策
猫がトイレを失敗してしまう場合は原因を見極めて、以下のような対策を行うことが大切です。
<環境ストレス>
猫は新しい家具や転居、家族構成の変化など、環境の変化に大きなストレスを感じ、気持ちを落ち着かせようとしてマーキングしてしまうことがあります。そのため、原因を除去できる場合は取り除き、難しい場合は落ち着いて過ごせる場所に寝床を移すなどして、リラックスできる環境を作ってあげましょう。
<トイレ環境の問題>
猫は神経質な性格の子が多いため、トイレの環境が不適切だと、トイレ以外の場所で尿をしてしまうことがあります。たとえば、トイレの場所が落ち着かない位置に設置されていたり、掃除が十分に行き届いていなかったりすると、不満を感じることがあります。
また、トイレ環境が急に変わることも、猫にとって大きなストレスとなり、粗相の原因になることがあります。こうした問題を防ぐためにも、猫が快適に使えるトイレ環境を整えてあげることが大切です。
<他の猫とのトラブル>
新しく猫を迎え入れると、縄張り意識の強い猫はマーキングをするようになります。そのため、慣れるまでは別々に飼育し、少しずつ対面させる時間を増やしたり、一緒に遊ぶ時間を設けたりして、徐々に距離を縮めていきましょう。
トイレ環境の見直しポイント
トイレを失敗してしまう場合、原因がわからなければ、まずはトイレ環境が整っているかを疑う必要があります。そのため、以下を参考にして、トイレ環境を見直しましょう。
<適切なトイレの数と設置場所>
・トイレは静かな場所に設置する
・トイレの数は飼育頭数+1個以上を設置する
<猫砂の種類>
・猫砂は愛猫の好みのものを使用する
<トイレの大きさと形状>
・トイレの大きさは体長の1.5倍以上のものを選ぶ
・砂を掘っても底が見えないくらいの高さにする
<清掃頻度とメンテナンス方法>
・排泄物で汚れた砂は毎日取り除く
・月に1〜2回を目安にトイレの本体を丸洗いする
・月に1〜2回を目安に猫砂を全て取り替える
要注意!病気が原因の可能性
トイレの失敗が増えたら、病気が潜んでいる可能性も考えられます。特に猫では以下のような病気が原因でトイレを失敗することが多い傾向にあります。
<膀胱炎や尿路結石>
猫によく見られる病気で、どの年齢でも発生します。トイレの失敗の他に、トイレに何度も通っているのに尿がほとんど出ない、排尿中に痛そうに鳴く、尿の色が赤い、お腹を触ると痛がる、陰茎や陰部をしきりに舐めるといった症状が見られます。
この病気はオス猫や肥満気味の猫、神経質な性格の子でリスクが高く、飲水量が低下する冬場は特に注意が必要です。
<慢性腎臓病>
高齢の猫に多く見られる病気の一つで、腎臓の機能が徐々に低下していきます。初期症状は多飲多尿で、次第に元気や食欲の低下、嘔吐、口臭などの症状が見られるようになります。
<糖尿病>
肥満や加齢などによって発症のリスクが高まり、特に去勢済みのオスは肥満になりやすいことから注意が必要です。また、多飲多尿や多食にも関わらず痩せてくるといった症状が見られるようになります。
動物病院への相談の目安
トイレの環境を整えてもトイレの失敗が続く場合や、トイレの失敗以外にも体調に異変がある場合には動物病院に相談しましょう。
ただし、トイレの失敗が見られた後に、尿が全く出なくなった、元気がなくぐったりしている、激しい嘔吐が見られる、痙攣しているなどの症状が見られる場合は、すぐに処置をしなければ命に関わる可能性があるため、様子を見ずに直ちに動物病院を受診してください。
一般的に、動物病院では身体検査や血液検査、画像検査、尿検査などを行い、原因を特定したり全身状態を確認したりしますが、緊急時には点滴や注射などで全身状態を回復させることを優先させ、後から検査を行うこともあります。
また、動物病院を受診した時にすでに全身状態が悪い場合、最善を尽くしても命を落としてしまうケースもあります。そのため、「たかがトイレの失敗」と思わずに、なるべく早めに動物病院を受診して、病気が進行する前に治療に繋げられるよう心がけましょう。
失敗した場所のお手入れ方法
トイレに失敗した場所は、ニオイが残ってしまうと再び同じ場所で失敗してしまうことがあります。そのため、以下のように適切なお手入れをすることが大切です。
<適切な洗剤の選び方>
洗濯をする場合、尿のニオイの成分を分解してくれる「酵素」が入った洗剤がお勧めです。また、猫の尿の消臭に特化した専用の洗剤も市販されているため、うまく取り入れてみましょう。
<効果的な消臭方法>
まずは乾いた布などを使って、ポンポンと叩きながらできるだけ尿を取り除きます。次に、洗濯機で洗えるものであれば酸素系漂白剤を直接塗り込んだ後、ぬるま湯で薄めた酸素系漂白剤でつけ置きします。30分ほど経ったら漂白剤はすすがず、そのまま洗濯機で洗濯をしましょう。
洗濯機で洗えないものであれば、クエン酸スプレーや重曹スプレーなどを使って消臭しましょう。
<再び同じ場所で失敗させないための工夫>
まずは、徹底的に消臭しましょう。また、同じ場所で粗相できないよう、家具などを置いて物理的に同じ場所で尿ができないようにさせるのも一つの手です。家具などにマーキングをしてしまう場合は、市販の忌避剤を使う方法もお勧めです。
まとめ
トイレの失敗はストレスやトイレ環境の問題、病気など、あらゆる理由から起こります。しかし、トイレトラブルには必ず原因があるため、原因がわかれば解決をすることができます。そのため、原因がわからない場合や病気が疑われる場合などは、なるべく早めにかかりつけ獣医師へ相談するようにしましょう。
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