シニア猫の食欲不振|夏バテと病気のサインの見分け方

夏の暑さが厳しくなると、愛猫の食欲が落ちてしまうというお悩みを抱えている飼い主様も多いのではないでしょうか。
特にシニア猫は、年齢による体の変化も重なり、夏場に体調を崩しやすくなります。「食欲がないのは単なる夏バテかもしれない」と様子を見ていたら、実は病気のサインだったというケースも少なくありません。
そこで今回は、夏に見られるシニア猫の食欲不振について、症状の見極め方や原因、対策方法、そして動物病院を受診すべきタイミングなどを解説します。
■目次
1.シニア猫の食欲不振の症状と見極め方
2.シニア猫が夏に食欲不振になる原因と体の変化
3.夏場のシニア猫向け食事の工夫と対応方法
4.食欲不振が続く場合の動物病院相談のタイミング
5.よくある質問(Q&A)
6.まとめ
シニア猫の食欲不振の症状と見極め方
夏になると、特にシニア猫に食欲不振のサインが見られるようになります。以下のような変化が見られた場合には注意が必要です。
・いつも食べているフードを残す
・おやつや好物のフードに対して興味を示さない
・水や食事の摂取量が明らかに減っている
・活動量が減り、寝てばかりいる
・徐々に体重が減少している
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このような症状が見られた場合、「夏バテ」と「病気のサイン」を見極めることが重要です。
<夏バテの場合>
涼しい時間帯やエアコンの効いた環境では、一時的に食欲が戻ることがあり、活力もある程度保たれています。また、消化器症状も軽度にとどまることが多いです。
<病気のサインの場合>
一方で、以下のような症状が見られる場合は、単なる夏バテではなく病気のサインの可能性があります。
・48時間以上まったく食事をしない
・嘔吐や下痢が続く
・ぐったりとして動かない
・急激に体重が減る
・水をたくさん飲み、排尿回数が増えた(多飲多尿)
このような症状が続く場合、慢性腎臓病や糖尿病、口内炎などの疾患が隠れている可能性があるため、早めに動物病院を受診することが大切です。
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シニア猫が夏に食欲不振になる原因と体の変化
高温多湿な日本の夏は、シニア猫にとって非常に負担の大きい季節です。猫は一般的に暑さに強い動物といわれていますが、シニア猫の場合は体温調節機能が低下しており、体への負荷が大きくなります。自律神経の働きも年齢とともに衰えるため、うまく暑さに対応できず、食欲低下を引き起こすことがあります。
また、加齢によって基礎代謝や消化機能が落ちることで、食事量そのものが減りやすくなります。さらに、腎機能の低下や口腔内トラブル(歯周病や口内炎)、嗅覚・味覚の衰えなども、食欲不振の一因となります。これらが重なることで、シニア猫は夏場により一層食事をとりにくくなる傾向にあります。
このような体調の変化に加え、夏場は食事環境にも注意が必要です。特にウェットフードは夏場に傷みやすく、30分以内に食べなかった場合は廃棄するのが安全です。ドライフードも開封後は空気や湿気にさらされやすいため、1週間以内に使い切るようにしてください。
さらに、室温や湿度も食欲や体調に影響します。室温は25〜28℃、湿度は60%以下を保つことが理想的です。エアコンやサーキュレーターを活用しながら、快適な室内環境を整えることが、猫の体調維持につながります。
夏場のシニア猫向け食事の工夫と対応方法
夏場はシニア猫の体調が不安定になりやすく、特に食欲や水分摂取の低下がよく見られます。そのような場合、ご家庭では以下のような工夫を取り入れてみると良いでしょう。
<食事の工夫>
ウェットフードやスープタイプのフードを取り入れることで、水分補給と栄養摂取を同時に促すことができます。また、ドライフードはそのままだと硬くて食べにくいため、ぬるま湯でふやかして柔らかくしてあげましょう。それにより、歯やあごへの負担が軽減され、無理なく食べられるようになります。さらに、フードを人肌程度に温めることで香りが立ち、嗅覚が刺激されて食欲が湧きやすくなります。
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<水分摂取の工夫>
暑い時期は脱水のリスクも高まるため、水分補給にも注意が必要です。水飲み場は猫の行動範囲内に複数設置し、どこでも新鮮な水が飲めるようにしておくと安心です。水の温度は冷たすぎず、常温の水の方が飲みやすい場合があります。
このように、フードや水分の摂り方に気を配ることで、シニア猫の夏の食欲低下や脱水を防ぐことができます。飼い主様のちょっとした工夫が、猫の健康を支える大きな力になるのです。
食欲不振が続く場合の動物病院相談のタイミング
シニア猫の食欲不振が続く場合、以下のような症状が見られたら、早めに動物病院を受診してください。
・2日間以上まったく食事をとらない
・嘔吐や下痢を繰り返す
・極端に元気がなく、ぐったりしている
・短期間で体重が大きく減少している
・多飲多尿
・黄疸(皮膚や歯茎が黄色くなる)や呼吸の異常が見られる
特に持病を持っている猫や、年齢が高い猫の場合は、24時間の絶食でも緊急性が高い可能性があります。そのため、様子を見ずに直ちに動物病院へ連絡してください。
よくある質問(Q&A)
Q:何日ほど食べなかったら心配すべきですか?
A:シニア猫の場合、24時間まったく食べない状態が続くと、緊急性が高いケースもあります。そのため、様子を見ずに早めに動物病院へ相談してください。また、わずかに食べていたとしても、2日以上しっかりと食欲が戻らない状態が続くようであれば、何らかの病気が隠れている可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。
Q:急にフードを食べなくなったので、ドライフードからウェットフードに切り替えても良いですか?
A:急な切り替えは、胃腸に負担をかけて下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。1週間ほどかけて徐々に移行するのが理想的です。なお、ウェットフードは水分も補えるため、夏場には特におすすめです。
Q:食欲を取り戻させるための応急処置のような方法はありますか?
A:ごはんを人肌程度に温めて香りを引き立たせる、お気に入りのふりかけやオヤツを少量トッピングする、などの工夫を取り入れてみると良いでしょう。しかし、それでも改善が見られない場合は、自己判断せず動物病院で診察を受けてください。
まとめ
夏場のシニア猫の食欲不振は、加齢にともなう体の変化と暑さの影響が重なって起こりやすくなります。一時的な夏バテの場合もあれば、腎臓病や糖尿病、口内炎などの病気が隠れているケースもあります。特に2日以上食べない、嘔吐や下痢が続く、などの症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
飼い主様のちょっとした工夫や気配りが、愛猫の健康を守る大きな力となります。当院では、夏場のシニア猫の健康管理や食事内容の相談にも対応しておりますので、気になることやご不明点などがございましたら、お気軽にご相談ください。
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