つるまき動物病院
院長ブログ

犬や猫の病気治療の新しい選択肢!|再生医療のメリットや注意点を徹底解説

2024年6月11日

近年では、「再生医療」という犬や猫の病気に対する新たな治療法が注目を集めています。しかし、再生医療が具体的にどのような治療法なのか、どのような病気に適応されるのかについて、詳しく知らないという飼い主様も多いのではないでしょうか。

今回は新たな治療法といわれる再生医療について、再生医療のメリットやその対象となる疾患などについてご紹介します。

■目次
1.再生医療とは?
2.再生医療のメリット
3.再生医療の対象となる疾患
4.再生医療の注意点
5.まとめ

再生医療とは?


再生医療とは、「失われた臓器や組織を再生す」医療技術です。

獣医療分野での再生医療では、幹細胞が分泌する生理活性物質を用いて、「本来持っている治癒能力や免疫能力をより強化し、病気を治療していく治療法」が行われています。

また、再生医療は自家移植と他家移植の2つの移植方法に分類されます。

自家移植
自身の細胞を体外で培養し、自身の体に移植する。

他家移植
健康な他の個体の細胞を培養し、自身の体に移植する。

犬や猫における再生医療にはさまざまな治療法がありますが、一般的には主に以下の3つの治療法が用いられています。

免疫細胞療法
血液中に存在するリンパ球と呼ばれる免疫細胞を使用した方法

幹細胞療法
骨髄や皮下脂肪に含まれる、さまざまな組織や臓器に分化できる幹細胞を使用した方法

多血小板血漿療法(PRP療法)
血液に含まれる血小板を使用した方法

再生医療のメリット


再生医療の最も大きなメリットは、体にかかる負担が少ないことです。
自家移植では自身の細胞を使用するため、拒絶反応のリスクが低く、細胞を採取する際の傷も小さいため、全体的な体への負担が少ないです。

また、従来の治療法では対応が困難だった病気に対して、治療の新しい選択肢が増えたことも大きなメリットといえます。

再生医療の対象となる疾患


再生医療の対象となる疾患には、主に以下のようなものがあります。

<免疫細胞療法>
がん

<幹細胞療法>
・骨折
・関節炎
・角膜潰瘍
・乾性角結膜炎
・慢性腸症
・アトピー性皮膚炎
・椎間板ヘルニア
・免疫介在性溶血性貧血 など

<多血小板血漿療法(PRP療法)>
・骨折
・関節炎
・椎間板ヘルニア など

ただし、再生医療は現在も研究が進行中であるため、将来的にはさらに多くの疾患に対して適用できる可能性があります。

再生医療の注意点


動物病院で再生医療を実施するためには、培養を行うための設備や技術の習得が必要です。そのため、この治療法を実施できる施設はまだ少ないのが現状です。
しかし、設備が整っていない病院でも再生医療を行える例が増えているため、将来的にはより多くの動物病院で利用可能になると期待されています。

ただし、治療できる疾患は限られているため、注意が必要です。
また、従来の治療法と比べると治療費は高額になります。犬や猫には公的な医療保険がないため、治療費は全額自己負担になります

まとめ


再生医療は現在も研究が進んでいる新しい治療法であり、体にかかる負担が少ないという大きなメリットがあります。これにより、従来は治療が困難だった病気の根治が可能になる見込みがあります。

再生医療には高額な治療費が伴い、この治療法を行っている動物病院が限られていること、特定の疾患にのみ適用可能であることがデメリットです。

しかし、従来の治療法にもそれぞれのメリットとデメリットが存在します。どの治療法を選ぶかは、状況に応じて慎重に検討することが大切です。

当院の再生医療では、がんを発症している動物に対しては「免疫細胞療法」を、難治性の病気に対しては「幹細胞療法」を行っております。
再生医療についてのご不明点などございましたら、当院でお気軽にご相談ください。

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