つるまき動物病院
院長ブログ

愛犬・愛猫の健康を守るために!|フィラリア、ノミ、マダニの予防と対策について

2024年6月7日

フィラリアやノミ、マダニは犬や猫に寄生し、皮膚炎や痒みなどさまざまな健康問題をもたらします。これらの外部寄生虫は犬や猫にとって大きな不快感と健康リスクを与えるため、愛犬や愛猫の健康を守るためにも、フィラリア、ノミ、マダニの適切な予防を実施することが大切です。

今回は、フィラリア、ノミ、マダニの予防について、感染がもたらす疾患や予防方法についてご紹介します。

■目次
1.フィラリア症予防の重要性
2.ノミ・マダニ予防の重要性
3.ノミ・マダニがもたらす疾患
4.犬や猫のノミ・マダニ・フィラリア感染の予防方法について
5.その他の予防措置
6.診察方法
7.まとめ

フィラリア症予防の重要性


フィラリア症は、蚊を介して犬や猫に感染する寄生虫病で、特に犬においては重大な健康問題を引き起こす可能性が高いです。猫では感染が確認されることもありますが、犬に比べるとその頻度は低いです。

この疾患は、フィラリア(糸状虫)という細長い寄生虫が心臓や肺の血管内で成長し、それが原因で発症します。蚊の吸血により体内に入った幼虫は、犬の体内で成長し、成虫になると約30cmにも達する大きさになる場合があります。

そして、成虫になると、呼吸器系や血液循環にさまざまな障害を引き起こし、咳や運動による疲労、血尿などの症状が見られることがあります。
さらに、フィラリアが肺動脈から心臓に移動すると、重度の三尖弁逆流や循環不全を引き起こします。

これらの問題が進行すると、大静脈症候群と呼ばれる状態に至り、呼吸困難や運動不耐性、低血圧、失神、腹水の貯留などの深刻な症状を招き、場合によっては急死に繋がるリスクがあります。

ノミ・マダニ予防の重要性


ノミ・マダニとは、犬や猫に多くの健康問題を引き起こす外部寄生虫で、アレルギー反応や皮膚炎、血液疾患などの原因になります。
また、これらの寄生虫は犬や猫だけでなく、他の動物や場合によっては人間にも病気を引き起こすリスクがあります。
そのため、飼い主様はしっかりとノミ・マダニの予防を行うことが非常に重要です。

ノミ・マダニがもたらす疾患


ノミ・マダニは動物の皮膚に寄生し、吸血することで生活しています。
ノミ・マダニの感染によって引き起こされる可能性のある疾患は以下が挙げられます。

<ノミによって発症する病気>
瓜実条虫症
瓜実条虫は消化管に生息する寄生虫のひとつで、ノミやハジラミによって媒介されます。多くの瓜実条虫が寄生していないと無症状ですが、症状が起きると肛門の周りに痒みが生じたり、体重が減少したり、下痢や嘔吐などが現れることがあります。
また、犬や猫の寝床やトイレに片節(米粒のような形状をしたもの)がたくさん落ちている場合は、瓜実条虫の感染が疑われます。

ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液が原因で発生するアレルギー反応で、犬や猫の皮膚に激しい痒みや炎症を引き起こします。また、痒みにより犬や猫が自ら噛んだり、引っ掻いたりすることが原因で脱毛や皮膚の損傷、皮膚炎が生じます。

<マダニによって発症する病気>
犬バベシア症
マダニを介して犬に感染する寄生虫疾患です。この疾患はバベシア属の原虫が赤血球内に寄生することが原因で、溶血性貧血を引き起こします。犬がマダニに吸血されることで、マダニから犬へバベシア原虫が伝播し、発生します。

感染すると、食欲不振や貧血、黄疸、脾腫などのさまざまな症状が現れる可能性があります。さらに重症化すると病状が急激に悪化し、生命を脅かすほどの重篤な状態に至り、輸血が必要となることもあります。

猫ヘモプラズマ症
ヘモプラズマというマイコプラズマと呼ばれる細菌の一種が原因で、赤血球が破壊されることにより貧血が引き起こされます。また、貧血だけでなく、発熱や元気消失、関節炎などの症状が見られることがあります。

SFTS(重症熱性血小板減少症)
マダニによって媒介されるウイルス感染症です。主に発熱や消化器症状、黄疸を引き起こします。血液検査では血小板の減少や肝酵素、黄疸の数値の上昇が見られることが特徴です。また、人間にも感染し、10〜30%の確率で死に至ることもある非常に危険な疾患です。

ライム病
マダニが媒介する人獣共通感染症で、感染すると発熱、倦怠感、関節痛といった症状が現れます。重症化した場合には、神経系に影響を及ぼす症状が現れることもあります。

犬や猫のノミ・マダニ・フィラリア感染の予防方法について


特に内服させるタイプの予防薬は、匂いや味を嫌がって飲んでくれないケースもあります。

このような問題を解決するために、現在は食べやすいフレーバー付きなど、下記のようなさまざまな予防薬があります。

チュアブルタイプ(犬のみ)
おやつのように直接与えることができるため、フードに混ぜても薬だけ食べない犬に特におすすめです。月に一度の投与が一般的です。

錠剤タイプ(犬のみ)
チュアブルタイプの予防薬が合わない場合や、食物アレルギーを持つ犬には錠剤タイプの予防薬が適しています。錠剤は余分なフレーバーや添加物を含まず、薬剤成分のみで構成されているため、薬に警戒せず内服ができる犬に推奨しています。また、月に一度の投与が一般的です。

スポットオンタイプ(犬・猫)
首の後に直接塗布するタイプの予防薬で、予防薬を食べてくれない子にも適しています。
月に一度の使用が推奨されています。

スプレータイプ(犬・猫のノミ・マダニ予防のみ)
生後間もない子犬や子猫でも安全に使用できます。体のサイズに応じた回数を全身にスプレーすることで、1ヶ月間効果が持続します。

注射予防薬(犬のフィラリア予防のみ)
獣医師によって年に1度、投与される予防薬で、長期間にわたる予防効果が期待できます。

その他の予防措置


ノミの駆除を行う際には、寄生したノミの除去だけでなく、犬や猫が日常生活を送る環境の清潔を保持することも非常に重要です。もし、ノミが犬や猫の生活空間に存在する場合、予防薬の使用と並行して、定期的に掃除を行い、ノミの卵や幼虫を徹底的に取り除くことが重要です。

また、ノミやマダニは森林のみならず、公園や河川敷など人間が暮らす地域にも広く生息しています。そのため、これらの場所へ犬や猫を連れて行く際には、事前に予防薬を使用し、ノミやマダニから犬や猫を守りましょう。

診察方法


当院では、フィラリア検査を行う際、血液検査も同時に行うため、健康診断を含めて診察を行っております。
通常、血液検査で診る項目は、7〜10項目程度ですが、当院ではアイデックスという専門の検査センターに血液検査を依頼しているため、18項目も調べることができます。

まとめ


フィラリアやノミ、マダニは犬や猫にとって深刻な疾患を引き起こす寄生虫です。そのため、飼い主様はこれらの外部寄生虫から愛犬や愛猫を守るために、予防措置をしっかりと行うことが大切です。

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