つるまき動物病院
院長ブログ

犬の僧帽弁閉鎖不全症について┃定期検査で早期発見を

2024年1月15日

僧帽弁閉鎖不全症は、犬に起こる心臓・血管系の病気の70%以上を占めると言われるほど、よくみられる心臓疾患です。この病気は、犬の心臓弁膜の一つである僧帽弁が正常に閉じなくなることで、血液の逆流が起こり心臓に負荷がかかってしまう病気です。僧帽弁閉鎖不全症は、年齢とともに進行しやすいため、特に中高齢の犬に注意が必要です。

今回は犬の僧帽弁閉鎖不全症について、ご家庭での注意点なども含めてお伝えします。

■目次
1.僧帽弁閉鎖不全症の原因
2.僧帽弁閉鎖不全症の症状
3.診断方法と治療方法
4.予防法やご家庭での注意点
5.まとめ

僧帽弁閉鎖不全症の原因


心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室という4つの部屋で構成されます。心臓の「弁」は各部屋の扉のようなもので、血液の逆流を防ぐ役割を持ちます。
僧帽弁とは、左心房と左心室の間にある弁のことで、この弁が正常に機能せず、血液が逆流してしまう症状が僧帽弁閉鎖不全症です。

詳しい原因はわかっていないものの、老化や遺伝的要因などが原因で発生すると考えられています。特に高齢の小型犬で発症するリスクが高く、キャバリア、シー・ズー、トイ・プードル、チワワ、ポメラニアンなどが好発犬種として知られています。

僧帽弁閉鎖不全症の症状


僧帽弁閉鎖不全症は、初期では飼い主様が気づくほどの症状が出ません

ある程度進行すると、興奮時に咳が出る症状がみられます。また、運動ができなくなって散歩中、すぐに座り込んだり、息切れしたりします。さらに進行すると走ったあとに突然倒れたり、重症になると肺に水が溜まる「肺水腫」となり、呼吸困難を起こすこともあります。

診断方法と治療方法


診断の中心は症状のヒアリングやレントゲンなどの検査による診断です。しかし、確定診断には心臓超音波検査が必要です。

治療には投薬治療と手術があります。
一般的には投薬治療を行い、心臓の動きを強める薬や血管拡張薬などの薬を用いることで、症状の改善や進行の遅延が期待できます。

また、投薬治療の目的は進行を遅らせることで、生涯治療を続ける必要があります。

予防法やご家庭での注意点


確実な予防法はありませんが、肥満にさせないことが予防のひとつだと言えます。また、できるだけ初期段階から治療を行うことで、病気の進行を遅らせることが可能です。

この病気は特に高齢の小型犬で発症リスクが高いため、一緒に暮らしている飼い主様には、定期的な健康診断をお勧めします。

まとめ


犬と暮らす飼い主様にとって、僧帽弁閉鎖不全症は最も注意しておくべき病気のひとつです。僧帽弁閉鎖不全症は、確実に少しずつ進行していくため、少しでも愛犬の様子が変だと感じた場合、早めに動物病院へ連れていくことがおすすめです。

僧帽弁閉鎖不全症について、疑問や気になることがあれば、お気軽に当院までご相談ください。

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