猫の甲状腺機能亢進症┃夜中の「ひとり運動会」は病気の可能性も!
猫と暮らす飼い主様の中には、食べても痩せてしまう、よく吐くようになった、活発に動き回るようになったなどの変化に悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような症状が見られたら、もしかすると甲状腺機能亢進症という病気かもしれません。
今回は、高齢猫に特に多い甲状腺機能亢進症について詳しくお伝えします。
■目次
1.甲状腺機能亢進症の原因
2.甲状腺機能亢進症の症状とは?
3.診断方法と治療方法
4.予防法と飼い主様が気を付けるべき点
5.まとめ
甲状腺機能亢進症の原因
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが過剰になることによって症状が現れる病気です。
甲状腺から分泌されるホルモンのひとつに「サイロキシン(T4)」という体を活発にさせるホルモンがあります。甲状腺機能亢進症は、甲状腺の過形成(細胞が過剰に増殖することで肥大化してしまうこと)や、甲状腺が腫瘍化(癌になること)してサイロキシンが過剰に分泌されることが原因で発症します。
この病気は犬では比較的まれですが、猫では10歳を過ぎると多く見られるようになる病気です。
甲状腺機能亢進症の症状とは?
甲状腺機能亢進症になると、甲状腺が異常に大きくなるため、首に触るとしこりに気づくことがあります。また、以下のような症状も現れます。
・食欲が旺盛になるにもかかわらず痩せてくる
・よく吐くようになる
・毛艶が悪くなる
・抜け毛が増える
・水を飲む量が増え、尿量も増加する
・暑がりになる
・常にそわそわと落ち着きがなくなる
また、夜中に大声で鳴いたり部屋中を駆け回ったりするなど、いわゆる「ひとり運動会」を行うようになることも多い病気です。
診断方法と治療方法
肥大化したり、腫瘍化した甲状腺は、首の上からでもしこりとして触れられるようになります。上記のような症状がみられた場合、まずは首の触診を行い甲状腺の大きさを確認します。
甲状腺機能亢進症が疑われる場合、血液検査でサイロキシンの数値を測定することで確定診断となります。
治療には外科的な方法と内科的な方法があります。
甲状腺そのものを手術で摘出すれば根本治療となりますが、甲状腺がなくなるため甲状腺機能を補う治療が必要となります。
そのため一般的には、内科的な治療(ホルモンの合成を食い止める薬の処方)が選択されます。
また、病状が軽度な場合や内科的治療の補助として、甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素を制限した療法食を使うこともあります。
予防法と飼い主様が気を付けるべき点
現在、甲状腺機能亢進症を明確に予防できる方法はありません。しかし、品種や性別に関わらず高齢になると発症する頻度が上がることから、定期的な健康診断で早期に発見することが大切です。
まとめ
甲状腺機能亢進症は、一般的な病気とは異なり初期では元気や食欲がなくなることはありません。しかし、放置すると体中が消耗し、腎臓や心臓など他の臓器に影響を及ぼすこともあります。早期発見し治療を始めることで、大切な愛犬愛猫の健康寿命を延ばしてあげましょう。
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